リセット (新潮文庫)

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本棚登録 : 2692
レビュー : 299
著者 :
yuu1960さん  未設定  読み終わった 

時と人3部作、完結。

第1章は、昭和ヒトケタの芦屋のお嬢さん。子供の頃に出合った運命の人。太平洋戦争に突入してゆく世の中に巻き込まれ、別れを迎える。

第2章の主人公は昭和30年の子供時代を語る。

スキップやターンのような「事」は、読み進めて半ば過ぎても起こらない。その後、たぶん、こういう話になるかなと考えてたら、そのままだった。
ひねりが無いというか、「事」が起こる必然性もあまり無い。
二度の再会、つまり真澄さんと和彦君の出会い、和彦君と真知子さんの出会いは、都合良過ぎじゃないのか。それに記憶があっても、人格は別なのではないのか。それを運命と云っていいのだろうか。
そんな文句の付け処はあるけれど、でも、さほど不満を感じず、物語を楽しむことが出来た。

真澄さんの体験した学徒勤労動員の話は父母から聞かされていたし、和彦君の子供時代は、僕自身の少年期を思い出させてくれた。神は細部に宿るというが、その細部の一つ一つに胸を突かれる思いがする。
僕自身の子供の頃、スーパーなんて無いから、野菜は八百屋で買い、肉は肉屋で買っていた。豆腐売りから豆腐買っていた記憶はないけど(子供だから寝ていたのかな)、街で豆腐屋のラッパか鈴をつけた自転車を見掛けていた。そんなことを思い出しながら、読み進めた。

ただ、若い読者には無駄が多いと感じるかもしれない。

(引用)
ー帝国と我々ではなかったのか。それでは、どうして皆な、帝国と共に滅びないのか。

八千代さんには申し訳ありませんが、最悪の時に、最悪の人から、最悪の言葉をかけられたとしか、言いようがありません。

この著者の断罪の言葉が胸に刺さった。

レビュー投稿日
2019年3月26日
読了日
2019年3月25日
本棚登録日
2019年3月25日
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