天翔る

著者 :
  • 講談社 (2013年3月20日発売)
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本棚登録 : 697
感想 : 123
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 心の傷がテーマの柔らかい物語だった。登場人物の誰もが友人の裏切りだったり、いじめだったり、過去の虐待といった心の傷を抱えていて、互いを互いに受容しあい、中心に収まる馬を通して支え合う。馬に乗って長距離を走る「エンデュランス」という競技を題材にしている。競技そのものの魅力を「いかに馬と信頼関係を結べるか」と著者は語っている。人間関係でうまく信頼関係を結べなかった人たちが、言葉の交わせない馬と信頼を交わす瞬間に、人に対するあきらめを少しばかり解きほぐされる。押しつけが少なく、「本当に、ほんとうに」とひらがなを大切にする言葉づかいの柔らかさが印象的だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2013年5月7日
読了日 : 2013年5月7日
本棚登録日 : 2013年5月7日

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