濃いわ。
よくもまぁこんだけ次々とクオリティの高い叙述トリックが書けるもんだ(褒めてる)。
グランドマンション一番館の住人たちの短編集。
とにかくほとんどの住人がヤバイ。親殺しアリ、幼児虐待アリ、年金不正受給アリ、オレオレ詐欺アリ、孤独死アリ、……一作一作がけっこう現代社会の問題にリンクしてる。
「地の文で嘘を書いてはならない」ってなことを言ったのは誰だっけ? 実は部屋が違ったり、時間軸が違ったり、ヒトが違ったりと、折原劇場やりたい放題な作品になってる。
叙述トリックって短編の方が効果的なのかもしれない。一編一編充実してて、濃いなぁ、と思える本だった。
最初は「こんな犯罪者と死人ばかりのマンション住みたくない……」と嫌悪感いっぱいだったけど、民生委員の高田さんが真面目に仕事をこなして(褒めてない)住人間の交流が見えてきて以降(その前から老人たちは独自のネットワークを築いていたことも分かってきて)、最後は滑稽にすら思えるようになった。
あ、全然ハートウォーミング系じゃないです。
なかなかの良作なのに、本棚登録が少ないのが意外に思った。
もっと読まれていい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
折原一
- 感想投稿日 : 2017年6月30日
- 読了日 : 2017年6月30日
- 本棚登録日 : 2017年6月30日
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