後宮の検屍女官 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年4月23日発売)
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本棚登録 : 874
感想 : 69
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キャラ設定もトリックも借り物の作品です。

キャラ設定は大人気作品「薬屋のひとりごと」から。
後宮という狭い世界が舞台なので多少は似てしまうのは仕方がないにしても、
・主人公は不本意ながら後宮に来て寵妃の侍女になる
・普段はやる気がない変人だが医学知識豊富で検屍が絡むとやる気を出す
・あだ名は老猫(薬屋主人公の名前は猫猫)
・捜査の相棒は美貌の宦官
と、ここまで似てるのはちょっとどうかと…?

そして、全4話のうち2話は「宋の検屍官」という20年以上前に刊行された乱歩賞作家作品と酷似したトリックを使われています。
宋時代に書かれた洗冤集録を題材に書かれている作品なので、同じ資料を参考にしたのなら似ても仕方がないのかも知れませんが、ここまで似るか?というところ。
妊婦の死因が髪で隠された頭部に打ち込まれた熱した釘であることと、撲殺された被害者が実は毒殺だったという2話です。
ミステリーの肝であるトリック部分を他作品からの拝借で済ませてしまうのはどうなんでしょうか。残り2話もなにかから引用したのでは?と思ってしまいます。

新人のデビュー作、受賞作品であるのなら仕方がないのかな?と思う部分もありますが、
何年も前に既にデビューしていて何冊も出している人が、大賞&読者賞W受賞という華々しい謳い文句で刊行されていてこれですか。
ご本人の作家としての良心と矜持を疑いますし、編集者の見る目のなさにもガッカリと致します。

文章の丸写しでなければ盗作とは呼べないといっても、心証は最悪ですよね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年7月5日
読了日 : 2021年7月5日
本棚登録日 : 2021年7月5日

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