遠い国からローランに嫁いできた花嫁・サガル。その夫で貿易商のローランと一人息子のハリファ。ローランは1年の大半を王都で過ごし冬の間だけ帰ってくる。
読み始めた時はたくさんのキーワードが散りばめられていて、これはどういったお話なんだろうと思っていました。中盤からは怒涛の展開で引き込まれました。
お互いに秘密を持ったまま、形だけの夫婦から徐々に互いを大切に思うようになっていく。まわりに不穏要素が増えていくたびに、ローランはサガルを大切に思いながらも相反する気持ちを抱くようになり、自分の秘密を打ち明け、今まで詮索しなかった彼のことを知りたいと切り出す。本当の夫婦になるために。
サガルの歩んできた過酷な人生を知った時のローランの叫びにとても胸打たれました。唇を震わせ上手く話せないと泣きじゃくるサガルが痛々しくて辛かった。酷いことを強いてきたかに思われた姫君も辛い思いを抱いていた。純粋で一途なサガル。とても大切に思っていた姫君の願いを叶えようとしていた。精一杯幸せになろうとしていた。サガルの行動を思い返すと胸がいっぱいで泣きそうになります。
経済格差や絶対的身分、理不尽などと戦ってきたローランの孤独も余りあるものがあります。レディ・アンと姫君という、ひとの上に立つふたりの女性の苦悩と成長、覚悟を垣間見たお話でもありました。
掌編ふたつもとてもよかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
あ行
- 感想投稿日 : 2020年2月6日
- 読了日 : 2020年2月6日
- 本棚登録日 : 2020年2月6日
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