
現代の書、換言、書壇ということになると思うのだが、その問題点を的確に指摘しているという所は評価できる。
ただ魯山人自体の字に臭みを含むものがあるし、魯山人の評価する書も独断的なものであって、すべてに感心するとはいかなかった。
読んでいて思い出したこと。普段筆で字を書かない人に書いてみてと頼むと、書いた後の感想は「人格がばれる」であった。正直な感想だろう。書の怖さはばれることにあるのだ。それが楽しさでもあるのだけれど。
「体裁はって如何にも格好良く書いた時はかえってそれが死作になっている。体裁の良い字というのはこれは必ずしも良い字ではなくて、要するに書道趣味者の眼を喜ばせるだけのもの」
「芸術というのは理性のみのい産物ではない。技巧の練達は技神に入るということで、図らずも想像以上の実力がでる。技巧があるところまで達すると精神的なものになってくる」
「書家に芸術を解するところがないために書道を誤認している」
- レビュー投稿日
- 2011年1月29日
- 本棚登録日
- 2011年1月29日
『魯山人書論 (中公文庫)』のレビューへのコメント
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