サム警視の元へ舞い込んだ奇妙な依頼。
一通の封筒の保管、警備員の失踪、
観光バスに紛れ込んだ2人の男。
いずれの調査も徒労に終わる。
更に、博物館からシェイクスピアの
年代物の貴重な本が盗まれ…。
幾つもの不可解な謎を、
ドルリー・レーンはどう推理するか。
四部作のラスト。
世間一般の知名度は、X、Yの悲劇が
抜きん出ているが、
読み物としての面白さはこちらの方が
抜群に魅力的に感じられた。
派手な殺人事件は殆ど登場しないが、
非常に不可解で「面白い」幾つもの謎が
次々に提示され、
これらがどう結びつくのか
楽しみでならない。
シェイクスピアにまつわる美術、
歴史ミステリといった趣である。
そして衝撃の結末。
後半で気づく人は少なくないだろう。
だが、気づいたから何だというのだ。
このシリーズにあの結末を用意する
エラリー・クイーンの凄さ。
パズラーとしては今ひとつの物語
かもしれないが、読み物として
ドルリー・レーンという稀代の
名探偵を描いた作品として傑作だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
●ミステリ
- 感想投稿日 : 2017年3月30日
- 読了日 : 2017年3月30日
- 本棚登録日 : 2017年3月27日
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