フランシスの主人公は、自分なりの倫理観を持っている。これが私は好きである。鼻につくという人もありそうだが、要するに男の倫理である。倫理は行動と結合する。この国では、ほとんど行動はできない。狭い上に、人間がむやみに多いから、行動すると、ただ動いたという、それだけで他人とぶつかる。したがって、行動よりは、行動の抑制が美学となり、倫理となる。
アングロ・サクソンの世界は、個人主義、経験主義の世界でもある。フランシスの世界は、それをよく表している。それが好ましくみえるのは、われわれが逆の世界に住んでいるからであろう。社会的に言えば、それは文化であり、伝統だから、どちらがいいということはない。
書くという作業、それを根本的にダメにしてしまうのは、書くことそれ自体が、書き手にとって現実に転化する場合であろう。
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- 感想投稿日 : 2010年4月1日
- 本棚登録日 : 2010年3月31日
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