ビジネスモデル症候群 ~なぜ、スタートアップの失敗は繰り返されるのか?

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  • 技術評論社 (2017年9月15日発売)
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ぼくは起業家のメンターとして「あなたがまだ分かっていないこと/まだ確証が得られていないこと」に意識を向けるように問いを投げかける。要は「未知」について考えを促す。まさにそのような「起業家自身の思い込み(バイアス)と視野狭窄に対処すること」が本書の主題。

スタートアップ支援者(投資家、メンター、コンサルタント、官僚等)に推薦したい書物。起業家本人にはオススメしない。功利主義的な統計アプローチと、実存的一回性の違い。統計に基づいた医療と、患者の立場の違い。

ちなみに、ぼくはこういう助言をすることが多い:

・未認識課題の指摘:「こんな落とし穴が空いてると思うけど、もう認識していますか/リスクは評価済みですか?」

・課題への対処法の例示:「その落とし穴をふさぐのであれば、これらの方法が有効かもしれませんよ」(普通の言葉で言えば、デザイン思考的な意味での「調査」や「評価」の手法に関する知識を提供するということ)

補足しておくと、「課題を認識しつつ、あえて無視する」という選択肢もある。時間は有限であり、あらゆるリスクを潰していくことはできないし、そんなのはスタートアップのやり方でもない(医療機器メーカーや霞ヶ関みたいなやり方だ)。そこで「リスクを評価し、リスクをとる」という考え方が出てくる。無視してよい課題は、最悪でもそれによって致命傷にならない課題だけ。つまりリスクが小さい課題だけ。

なんにせよ、いずれにせよ(無視するにせよ)、未認識課題がなるべくないように、あらゆる課題の可能性をできるだけ網羅的に想像して列挙しておくことが大事。その想像がぼくは得意。ある意味、パラノイア的・不安神経症的なパーソナリティの人には向いている精神活動だと思う。「これでもう十分だろうか?完璧だろうか?漏れはないだろうか?」というメンタリティが求められる作業なので。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2017年10月13日
読了日 : 2017年10月13日
本棚登録日 : 2017年10月13日

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