岡崎久彦さんによる著書は今で見てきたもの全てが重厚な内容で、隠された歴史事実を学ぶ上で大変役に立つ。本書は16世紀から17世紀におけるオランダ国の成立と繁栄、衰退のパラダイムを読み取り、如何に繁栄と富を極めた環境においても国家の独善的な趣向が衰退へと導くのかを学ぶ一書である。そもそもオランダ国の繁栄というの世界史の中では閉ざされた歴史となってしまっているが、この繁栄と背景を十分に考察されている点だけでも十分に読み応えがある。さらに、スペインという共通の脅威が去ったあとに訪れるイギリスとオランダ国の関係は正にソビエト亡き後のアメリカと日本の経済摩擦に当てはまる点が歴史は繰り返す原則に基づくもので大変おもしろい。独善的な立場において富を独占することが国家を繁栄させあまりにも進歩的な体制が国家を瓦解させるに至った。、
中世の新教徒の台頭、30年戦争を踏まえた歴観において、オランダ国のパラダイムを読み解き失敗を学ぶことはアメリカ国家の成立と繁栄に結びつき、近代社会の礎を学ぶこととなる。
近代社会学を学ぶ上でもオランダ国の存在は決して忘れえてはいけない。
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2010年6月15日
- 本棚登録日 : 2010年6月15日
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