人形の家 (岩波文庫 赤 750-1)

  • 岩波書店 (1996年5月16日発売)
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「あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ」という一文を読んで忌野清志郎が「キミかわいいね/でもそれだけだね」と歌っていたことをふと思い出す。19世紀に書かれた戯曲で描かれるのは、良い娘/妻としての役割から解き放され、実存として浮かび上がる自己に目覚めたひとりの女性の姿だ。罪の果実を食して始めて人間として目覚めるというのは正しく神話的と言える。最後20頁におけるノラの怒涛の台詞は強烈なカタルシスをもたらすと同時に、その叫びは現代もなお主題たり得ている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2015年6月8日
読了日 : 2015年6月8日
本棚登録日 : 2015年6月8日

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