主人公のお島は勝ち気で男勝り、仕事をするのは好きだけど男は嫌いというまさに「あらくれ」。義親から縁談の話を進められては成立する直前に拒絶して家を出たり連れ戻されたり。ようやく結婚したかと思えばまた飛び出したり、身を固めたかと思えば自ら商売に力を入れ、浮いたり沈んだりを繰り返す。
「私は働かないではいられない性分ですからね。だから、どんなに働いたって何ともありませんよ」
世間の風習に抗い続ける態度はその決して愛されているとは言えない生い立ちから生まれた者なのか。風習から自由になる為に商売に力を入れることによって、資本の論理に取り込まれてしまう事は本当に自由なのか。時代に抵抗し続け、人生を疾走し続ける彼女の姿は、同時代的にはどう見えたのだろうか。「男」に惹かれるニュアンスを描いた最後は、肯定的なものなのか、否定的なものなのか。
読み進めながら、上記のような考えや思いが頭の中をぐるぐると廻り続けて、読了後もそんなぼんやりとした事しか書く事が出来ず…少なくともお島は、そんな曖昧な感情なんて省みることなく、彼女の人生を疾走し続けるんだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2011年12月17日
- 読了日 : 2010年8月9日
- 本棚登録日 : 2011年12月17日
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