ギフトライフ

著者 :
  • 新潮社 (2023年3月1日発売)
3.06
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本棚登録 : 130
感想 : 6

読み終えて、なんともいえない薄ら寒い気持ちになった(褒めています)。
ディストピア、と言ってしまっていいのだろうか。渦中の人たちのほとんどはそれを受け入れ「その方が楽」と感じている、そのこと自体がいちばん恐ろしい。それでいて、読者はどちらかというと主人公側にいる自分に気付く。それもまた怖い。

給料も信用もすべてがポイントで管理されて逃げ場のない社会。障害者は重度不適性者と呼ばれ、家族のポイントを食い潰して困窮させる存在となり、生体贈与を「自らの意思で希望した」ことにされる。適性のある子どもを産み増やすことが最重要という価値観。
広告の洪水の中で暮らし、それでも「自由」よりも「管理」されている方が快適などと疑いもなく考えている主人公が、出張先で事件に巻き込まる。小説というのは大抵事件が起こって何かが「変わる」のだが、主人公はこれだけのことが起こっても「変わらない」いや「変われない」ことを確認して、何食わぬ顔で日常へと戻っていく。

このディストピアはもうすでに始まっているのでは、と考えさせられる小説だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2023年3月25日
読了日 : 2023年3月25日
本棚登録日 : 2023年3月25日

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