沈みかけの船より、愛をこめて 幻夢コレクション

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022518231

作品紹介・あらすじ

破綻しかけた家庭の中で、親を選択することを強いられる子どもたちの受難と驚くべき結末を描いた表題作ほか、「時間跳躍機構」を用いて時間軸移動をくり返す驚愕の物語「地球に磔(はりつけ)にされた男」など全11編、奇想と叙情、バラエティーにあふれた「ひとり」アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • D瓶さん、お先に失礼いたします。
    乙一さん、一人アンソロジー、第二弾。
    今回は、違いがわかる読者になりたくて、作者別に読んでみました。

    乙一
    「五分間の永遠」五分間というお題の児童書
    教室のイジメは嫌らしい。どんな小説も解決にはならない。このイジメられている少年と友達のふりをする少年、二人の強さと優しさを小学生が読んでくれると嬉しい。
    「電話が逃げていく」どんでん返しのアンソロジーでの短編
    これは、実体験派の女性達が、少なからず日本にも居るかもという怖さがある。
    「東京」伝奇小説
    東京聖母物語。
    「カー・オブ・ザ・デッド」ゾンビ小説
    コメディタッチのゾンビ達。
    「沈みかけの船より、愛を込めて」迷うがお題のアンソロジーでの短編
    沈みかけの家庭で、愛を込めて親の選択をする少女。愛を込めた迷いと、計算された迷い方のギャップが面白い。
    「二つの顔と表面」人面瘡がお題のホラー
    +宗教二世問題を絡めて扱い、宗教と学校でのイジメ、人面瘡と少女の友情とホラーは一部。

    中田永一
    「無人島と一冊の本」地域雑誌寄稿ショート。
    無人島に流れついた男と一冊の本。そこに住んでいた猿達が、本から原始社会を作り始める。
    「パン買ってこい」走るがお題の短編
    凪浪さんの美しい彼の高校時代を思い出しちゃって。500円貯め始めるのか?って期待したけど、別物です。
    「蟹食丸」酒がお題の地域雑誌寄稿小説
    鬼に酒を運び続ける、余命半年の男。彼は何の為に酒を運ぶか。なんか良い。日本昔話風。
    「地球に磔にされた男」10年がお題の短編
    現代にしか着かないタイムマシンで時間軸を彷徨い、其処此処の自分と出会う。最後の居場所と決めたところは、大震災後の自分だった。

    山白朝子
    「背景の人々」百物語企画
    山でのドラマ撮影時の心霊現象。まあ、あるだろうねえ。

    山白さんは、なんか女性っぽくしてるかな。
    中田さんは、もしかしたら、多少真面目な方かしら。オマージュっぽいのお好きだったり?単にメインでない依頼に利用されてる大人しい人かな。
    どの短編もまとまりの良い短編。ページ数に収めるのうまいですよね。☆4と☆3混在。平均3.5くらいです。

    • 土瓶さん
      おびのりさん、いいなぁ~( 一一)
      今、図書館の予約見たらまだ21番目だった。
      蔵書は2冊だから……半年ぐらいかかるかなぁ><
      今回は...
      おびのりさん、いいなぁ~( 一一)
      今、図書館の予約見たらまだ21番目だった。
      蔵書は2冊だから……半年ぐらいかかるかなぁ><
      今回はあんまり怖いの無かったのかな?
      それともおびのりさんの肝がズブ……いえ、なんでもないです(笑)              
      2022/11/30
  • 乙一さんの"ひとり"アンソロジー

    乙一さん、中田さん、山白さんと楽しめて、まるで乙一さんのコース料理♪
    贅沢な本ですね!
    おまけに作品解説は安達さんってw
    フルコースですねw

    いつもながらどの作品も良かったですが…、
    この2編が特に気に入ったかな^_^

    ◆五分間の永遠
    いじめられっ子の村田ツトムはおれに五分間だけ友だちになってくれないかと頼んでくる
    報酬は五百円

    ツトムがこの関係をお願いしてきた理由は…

    そして、五分五百円の友だち関係にピリオドが打たれたのは、いじめっ子におれのドロップキックを食らわせたとき

    短い内容だが良い話です♪

    ◆パン、買ってこい
    「おい、秋永。パン、買ってこい。なんでもいいから。五分以内だぞ。おくれたらぶっ殺すからな」
    これは、いわゆるパシリという半ば強制的にお使いをやらせるパワーハラスメント、つまりいじめだ!
    秋永は教室から購買、そして購入したパンを体育館裏へ届けるというルートを全力疾走し続ける
    だが、いつしか秋山にとってこのパシリの行動が生きがいに変わってくるw
    実は、パシリにされるっていいことなの…?w

    ちょっと面白い話です♪

    あと…、
    ◆電話が逃げていく
    たった4ページの作品ですがちょっと気に入りましたw

    乙一さんのコース料理堪能しました(๑´ڡ`๑)

    • 土瓶さん
      ひとりアンソロジー第3弾も出して欲しいですね^^
      ひとりアンソロジー第3弾も出して欲しいですね^^
      2023/07/02
    • 1Q84O1さん
      みんみんさん
      先生の要らないお節介のせいでパシリ終了に…
      インターハイの夢終わるw
      みんみんさん
      先生の要らないお節介のせいでパシリ終了に…
      インターハイの夢終わるw
      2023/07/02
    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠
      ぜひとも出してもらいたいです!
      その前に「メアリー・スー」がまだ未読なのでどこかで探してきます^_^
      土瓶師匠
      ぜひとも出してもらいたいです!
      その前に「メアリー・スー」がまだ未読なのでどこかで探してきます^_^
      2023/07/02
  • 乙一さんの一人アンソロジー第二弾。
    11篇の短編集。
    前回も思ったけど、表紙がいいな~。

    「五分間の永遠」乙一
    いじめられ小学生と僕。

    「無人島と一冊の本」中田永一
    無人島漂流、猿たちと百科事典。

    「パン、買ってこい」中田永一
    パシられ高校生。

    「電話が逃げていく」乙一
    4ページの超ショート。

    「東京」乙一
    伝奇小説。
     元気でいる? 泣いてない?
     傷ついたら、もどっておいで。
     いつでもまってるからね。
    乙一さんの描く女性は魅力的。

    「蟹喰丸」中田永一
    瘤取り爺さん的な、鬼と酔っぱらい。

    「背景の人々」山白朝子
    ホラー。

    「カー・オブ・ザ・デッド」
    ゾンビ。

    「地球に磔にされた男」中田永一
    タイムマシン。適材適所の幸せ。

    「沈みかけの船より、愛をこめて」乙一
    離婚寸前家庭より。

    「二つの顔と表面」乙一
    女子高生にできた人面瘡探偵。

    どれも前作より小粒な印象です。残念ながらパワー不足。
    好きなのは「地球に磔にされた男」と「蟹喰丸」かな。

    各話の冒頭に当人による解説がついていて、どのような経緯で書かれたのかがわかって面白かった。

    「五分間の永遠」は
    時間をテーマにした児童書アンソロジー向けのもので、「五分間」というお題と小学校の図書室に置かれるようなタイプの本に収録されるものを。

    「背景の人々」は
    【嵐の夜、都内のとある舞台稽古スタジオで停電が発生し、参加しているキャストたちが百物語を始めた……】という設定が編集部から提示され――。

    作家さんって、ずいぶん細かい設定を出されて書くもんなんですね。ご苦労様です。

    • なおなおさん
      あと土瓶さん未読のアノ絵本とかね(^_-)-☆
      あと土瓶さん未読のアノ絵本とかね(^_-)-☆
      2023/06/07
    • あゆみりんさん
      私はパンツじゃなくて、くつした☆彡いってみようと思います!
      あと、キュンとしたいので中田さんかな(⸝⸝ .ˬ.⸝⸝)
      私はパンツじゃなくて、くつした☆彡いってみようと思います!
      あと、キュンとしたいので中田さんかな(⸝⸝ .ˬ.⸝⸝)
      2023/06/07
    • 土瓶さん
      あ。作者名書き漏れ。
      「カー・オブ・ザ・デッド」乙一

      もう3人の名義の違いがまるでわからんな。
      今回のはキュンもゾクッもなかったん...
      あ。作者名書き漏れ。
      「カー・オブ・ザ・デッド」乙一

      もう3人の名義の違いがまるでわからんな。
      今回のはキュンもゾクッもなかったんですよね~。
      2023/06/07
  • 乙一・中田・山白によるアンソロジー11編

    山白作品が1つだけでちょっと不満?
    映画撮影でのホラーあるある。

    乙一「五分間の永遠」二人の少年の5分だけの友達契約…切なくて何ともいい話。中学生になった2人も見てみたい。
    中田「パン、買ってこい」不良のパシリをさせられる高校生…パシリを極める姿に爆笑♪
    相変わらずイジメられる側の描写が絶妙(〃ω〃)

    中田「蟹喰丸」不思議な世界に迷い込んだ男が鬼と毎晩酒を飲む…ラストが良かった♪この話好き(^^)

    表題作「沈みかけの船より…」離婚する両親のどちらについていくか…中学生の女の子が色々な角度から冷静に考える話。冷静過ぎる彼女は逞しいけど痛々しいが、彼女なりの愛が感じられた作品。
    子供の気持ちをしっかりと親も考えなくてはいけない。

    第二弾はラストに意外性がちょっとなかった作品が多い気がしたので☆3つでした\(//∇//)


    • 土瓶さん
      いいな~
      いいな~
      2023/04/29
    • みんみんさん
      土瓶さん買ってください笑
      土瓶さん買ってください笑
      2023/04/29
    • 1Q84O1さん
      私、みんみんさんのパシリになるので今から土瓶師匠のところに徴収に行きます
      ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      私、みんみんさんのパシリになるので今から土瓶師匠のところに徴収に行きます
      ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      2023/04/29
  • 大好きな乙一さんの1人アンソロジー第2弾!!
    今回もホラーあり、ゾンビあり、そしてちょっぴりジーンとするのもあり!
    とっても楽しめました\♡︎/

     ⭐︎乙一   6編
     ⭐︎中田永一 4編
     ⭐︎山白朝子 1編
     ⭐︎安達寛貴 全作品の解説  1人4役!!

    どの話もハズレなしで良かった!
    この世界観大好きだ〜

    第1弾の「メアリースーを殺して」の時は、わりとそれぞれの名義の色の違いがはっきりしてた気がするけど、今回は乙一さんと中田永一さんの境界線が私にはちょっと分かりにくかったかな。
    爽やか系の中田永一さんが乙一さんよりだった気がする。
    そして欲を言えば、山白さん名義のをもう1編くらい読みたかったな〜
    でもどれも好きだったので、もうそれでいいのだ〜!!

    11編のうち特に好きだったのは、
    「東京」「蟹喰丸」「沈みかけの船より愛をこめて」「二つの顔と表面」の4作。





  • それぞれの名義で発表した作品を集めたアンソロジー。
    安達寛高としての作品解説つき。

    まとめて読むと、名義の違いがより際立つ気がした。

    癌で余命宣告を受けた男が、魑魅魍魎の住む森へ通う「蟹喰丸」。
    時間跳躍機構を使い、枝分かれした人生を見て回る「地球に磔にされた男」。

    やはり好みなのは、中田永一名義。

    500円で友達のふりをする、乙一の「五分間の永遠」も、よかった。

    「カー・オブ・ザ・デッド」のようなホラーは、やっぱり苦手。

  • 乙一一人アンソロジー11編
    もう一度読み返したい4選
    5分間の永遠:5分間500円で友達のふりが…
    パン買ってこい:パシリ、本気を出す
    蟹喰丸:余命半年の癌患者と鬼
    地球に磔にされた男:時間跳躍機構

  • 乙一さんのひとりアンソロジー.*・゚

    「5分間の永遠」乙一
    小学生時代、クラスメイトに村田ツトムという子がいて、みんなから”キモイ”と言われていた。彼が近づくと女子は逃げていき、男子からはいじめられていた。 ある夏の日の放課後。おれは村田ツトムに呼びとめられた。「なぁ、きみ、お金をあげるから、5分間だけ、ぼくの友達になってくれないか」

    小学生男子2人の ちょっと切なくて ちょっと心があたたかくなるお話。500円の友情。5分間に込められた意味。

    「地球に磔にされた男」中田永一
    ある日、廉太郎は『時間を跳躍できる懐中時計』を手に入れる。廉太郎が懐中時計の突起を押したことにより、10年前から現在まで無数に枝分かれした時間軸があらわれた。やっかいなことに元の時間軸には戻れない。-自分はこの10年間、努力も成功もしなかった。ギャンブルと 酒を飲むだけの毎日。だけどもしかしたら、この10年間、枝分かれした時間軸の中には、まともな人生を歩んだ俺もいるんじゃないか?- 廉太郎は懐中時計の側面の突起に親指の腹を乗せる。

    最後に廉太郎がいたのは、東日本大震災があった年の時間軸。廉太郎が手に入れた人生、じわ〜っとくる。うん、そうか、よかったね。そこで今度こそは頑張ってって。

    「背景の人々」山白朝子
    今回 山白朝子作品はこの1作だけ。
    『嵐の夜、都内のとある舞台稽古スタジオで停電が発生し、参加しているキャストたちが百物語を始めた…』という設定で書かれた作品。エキストラで参加した女の子が 撮影場所のキャンプ場で体験した怖い出来事。誰もいないはずの場所でカメラに映り込む人。マイクには聞こえるはずのない ぎぎぎぎぎっ という歯ぎしり。

    怖いのは怨霊か、生きてる人間の嫉妬心か。
    (…でもあんまり怖くなかったの)

    他にも ゾンビに襲われる男の話や、耳の後ろに人面瘡ができた女子高生の話など 今回も盛り沢山!

    わたしが好きなのは
    「パン、買ってこい」中田永一
    クラスメイト いわゆる不良の入間くんのパシリになったぼく。『秋永、パン、買ってこい』入間くんの命令はいつもそれだけ。

    毎日毎日 入間くんにパシリにされるぼくの話なのに。やはり中田永一、なぜこんな爽快な話にもっていけるんだ! ぼくは走る!入間くんの好みにあったパンを 昼休みの間に届けるために、走る!!

    ミニスナックゴールドを端からクルクル食べるのが好きでした。
    セブンのレジ脇のカレーパンも好き

    • ゆーき本さん
      軽快で 躍動感溢れるパシリ.*・゚笑
      先程 図書館で『小説家と~』と赤堀ちゃんシリーズ第7弾を受け取ってきましたよん(*´▽`*)♬*゜
      軽快で 躍動感溢れるパシリ.*・゚笑
      先程 図書館で『小説家と~』と赤堀ちゃんシリーズ第7弾を受け取ってきましたよん(*´▽`*)♬*゜
      2023/08/05
    • 1Q84O1さん
      私も赤堀ちゃん借りに行かないとε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      私も赤堀ちゃん借りに行かないとε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      2023/08/05
    • ゆーき本さん
      (((((((((ノ*´3`)ノGOGO!
      (((((((((ノ*´3`)ノGOGO!
      2023/08/05
  • 乙一さん、中田永一さん、山白朝子さんのアンソロジーに、安達寛高さんが解説を寄せたスペシャルな一冊。
    いじめられっこに頼まれて友達のフリをしてあげる「五分間の永遠」、不良のパシリ役に全身全霊で徹する「パン、買ってこい」。
    そして、離婚する両親のどちらに引き取られるほうが得か、中学生の娘が探偵のごとく調査を重ねる表題作「沈みかけの船より、愛をこめて」。
    ここらへんがもう琴線に触れまくってボロッボロ泣いた。悲しみでも感動でもなく、なんていうかこれは琴線なんだよ。乙一さん(あるいは中田永一さん、山白朝子さん)の特定のタイプの文章を読むことでしか触れられない、普段は眠っているあたたかな場所。

  • 【収録作品】「五分間の永遠」 乙一/「無人島と一冊の本」 中田永一/「パン、買ってこい」 中田永一/「電話が逃げていく」 乙一/「東京」 乙一/「蟹喰丸」 中田永一/「背景の人々」 山白朝子/「カー・オブ・ザ・デッド」 乙一/「地球に磔にされた男」 中田永一/「沈みかけの船より、愛をこめて」 乙一/「二つの顔と表面 Two faces and a surface」 乙一

    解説まで含めて全部自分の一人短編集。
    ファンタジー、SF、ホラー、ミステリー、etc. いろいろな話が入っているが、やっぱりどれも乙一だなと思う。
    各話の扉裏に書かれている解説がうまくまとまっている。さくさく読めるけれど、ふと考えさせられるものもあって、なかなか一筋縄ではいかない。
    「五分間の…」は教科書に載っていてもいいかも。
    「無人島と…」「東京」は寓話っぽい。
    「パン…」の少年の今後が案じられる。
    「電話が…」は心境はわかる。
    「蟹喰丸」はふつうにいい話だが。
    「背景の…」「カー・オブ・ザ・デッド」はホラー。後者はコメディタッチだけれどなかなか怖い。
    「地球に…」はラストありきの着想かなとふと思う。
    「沈みかけの…」は家族問題。このくらいドライに考えたほうがいい。
    「二つの…」は共存する人面瘡の成長がホラー。新興宗教の二世問題はタイムリー。

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