- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120055614
作品紹介・あらすじ
「――あなたに出会えてよかった」
東京湾を横断するフェリーが発着する小さな港町・金谷を舞台に、約30年に亘って、紡がれる出会いと別れ、そして再生の物語。――愛する妻、大好きな母を失った血の繋がらない父子。挫折し故郷に戻ったバレリーナと、寄り添う書道の先生。映画好きの同級生に恋した女子中学生の一大決心。卒業式間近に親友となった二人の男子高校生。余命宣告を受けた元妻と数十年ぶりに偶然再会した男。彼らを見守るフェリー乗り場の総合案内係・椿屋誠。無機質に見えた彼の心と表情も、人々の出会いと別れに触れ、やがて……。
感想・レビュー・書評
-
千葉県富津市金谷にある東京湾港フェリー発着港。この小さな港町の人々の出会いと別れが、瑞々しいタッチで温かく描かれた物語でした。
全六話ですが、主人公が変わりながら、共通する登場人物の成長と重ねて進み、30年の時を経て人と人が繋がっていきます。
別れ・旅立ちの港・駅が、いろいろなものを背負いながらも、登場人物の新たな一歩を踏み出す転換点となるべく美しい舞台として描かれています。
<サクラさん>の桜を植え続けた理由が明らかになり、フェリー発着港が旅立つ人への最高の応援舞台となる終盤はクライマックスです。あ〜絵に描いたようなこの世の桃源郷だなぁと、嫉妬すると同時に、こんなに上手く事は運ばないよなぁ、と諦念している自分もいました。
日頃私たちは、進んで人と接点を持とうとはしないのが現状ではないでしょうか? 孤立を生まないためにも、繋がりが大事にされる社会であることを願ってやみません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
別れから始まったので悲しい話しかと思いましたが、温かさにあふれた優しい物語でした。
人生は出会いと別れではなく、出会いと旅立ちだと書かれていました。その言葉にぴったりの一冊だと思います。 -
清水さんの著書は2冊目。個人的には「さよならの向こう側」よりも好きかもしれない。
大きな悲しみ、甘酸っぱい恋、生涯の友との出会い、青春、別れ、再会、新しい生き方。
生きていると誰もが経験する辛苦や喜び、いろんな感情を登場人物とともに疑似体験。読みながら頭のなかに映像が浮かんでくる。
中にはしんみりしてるのにクスッとなる場面もあって、そこもまたいい!
どの章も、それぞれに響いてくるものがあって良かったなぁ。
昭和感ただよう時代設定も自分に合っていて、あちこちに散りばめられた懐かしいワードに思わずニンマリ。
優しく温かい感動のラスト。
たくさんの人の人生が詰まった素敵な1冊。
個人的に何だかホッとする本でもありました。 -
春風亭の桜木さんが出てくるたびに、阿部寛を思い出した。短編の連作、全体的に良い話だった。
-
サクラさんと新案内人さんの話はよかった
時間が交錯した感じがいい
ああ金谷でアジフライ食べたい! -
フェリーターミナルのある小さな港町を舞台にした短編連作。
それぞれ出会いと別れの物語なんだけど、心情描写が素晴らしく、町の風景も一緒に想像しながら読みすすめた。
「さよならだけが人生だ」
「人生は、出会いと旅立ちの連続だ」
どちらも正解だけど、後者の言葉の方を感謝の気持ちと共に感じながら過ごしていけたらいいなと思う。 -
『さよならの向う側』の著者が贈る、出会いと別れ、そして再生の物語。いまの時代だからこそ読みたい、感動の傑作小説、ここに誕生!
-
3月にぴったりの本でした。
-
さらさらと読めて、程よい感動と爽やかな読後感だった。
素直に読めて、登場人物の繋がりもよかった。
さよならだけがじんせいだ