行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙

  • 国書刊行会
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本棚登録 : 93
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336042064

感想・レビュー・書評

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  • ブクログのレビューで心惹かれた1冊。
    こういう遊び心たっぷりの本は大好きです!

    冒険家の伯父さんが、イギリスに住む甥に宛てたお手紙です。
    タイプライターで打たれた文字は、誤字だらけ。
    何か所もバッテンやら、手書きの修正が入っています。
    ページをめくるごとにあらわれる絵は、伯父さんが冒険の中で目にした風景や動物を描いたもの。
    そして、血のシミやらコーヒーをこぼしたシミなんかも、いたるところについているのです。
    伯父さんのヘンテコな悪態(「あぶらくそっ!」)や、なんとも奔放な手紙の書き方、そしてその中で語られる冒険譚に、わくわくさせられっぱなしでした。

    この本を原書の魅力そのままに、日本語にするのには本当に骨が折れたことと思います。
    例えば、1文字1文字癖のあるタイプライターで打たれた文字は、アルファベットなら26字ですみますが、日本語となるとひらがなだけでも50音。
    日本語版の刊行に携わった方々の苦心がうかがえます。

  • 出版元・国書刊行会のブックフェアで、「これだけ、えらく可愛いタイトルなんだけど?」と、手に取った1冊。原題は“Letters from a Lost Uncle”。邦題はちょっと砕きすぎかな?と思うものの、そそられるキーワードが加えられて、しっくりハマっていると思う。

    題名通りの本です、はい…と言ってしまえば即終了!の本だけれど、1ページずつに、キュートな楽しさとおかしみが詰め込まれた本だと思う。筆まめなタフガイで、しかもロマンチストな伯父さんと、従順な相棒のジャクスン。伯父さんの勇気とウィットが発揮される舞台は、チェリー=ガラード『世界最悪の旅』めいた世界で、決してパラダイス行ではない。相次ぐ試練に、伯父さんとジャクスン、どうなっちゃうの!と思わずドキドキしてしまう。これはスレた大人の私には、近ごろちょっとなかった感覚だった(笑)。それに、伯父さんの目指したものが目の前に現れた時の荘厳な美しさ、迎える瞬間の静かな劇的さには、「厳粛な気持ちというのはこういうものだったのか」と、あらためて自分の感情を思い直すこともできた。

    物語としてはオーソドックスだと思うものの、原文に満載されたお遊びを日本語に移し替えるのに、これほど難しい作品はなかっただろうとも思う。翻訳だけとってみても、難しい部類に入る作品なので、訳の精度はこの際置いておくとして(よくない、という意味ではないです、念のため)、訳者さんとブックデザイン担当者さん、印刷屋さんなどの各方面のプロフェッショナルがそれぞれに趣向を凝らした結果、このキュートな本をこの形で日本で読めたというのには、本当にご努力に頭が下がる。

    子どもさんにはストーリーで楽しんでほしいし、大人には1ページ1ページの作りや趣向をじっくりながめて楽しんでほしい本だと思う。だから絶対に、とおりいっぺんに読んで「はい、終了!」とやってはいけません。それだけはお願いしたい、そんな本です。

    • Pipo@ひねもす縁側さん
      けーこさん:

      私もフェアで一目ぼれして、そのままスルーするのが惜しくなって、買って帰ってしまいました。一度読み終わっても、ぱらぱらめくって...
      けーこさん:

      私もフェアで一目ぼれして、そのままスルーするのが惜しくなって、買って帰ってしまいました。一度読み終わっても、ぱらぱらめくって楽しんでます。

      ぜひお探しになって(お時間のある時に)、楽しんでいただきたいです!
      2012/10/02
  • 長い間行方不明だった変わり者の伯父さんから「ボク」に手紙が届きます。
    探検家の伯父さんは、「亀犬」ジャクスンを連れて、極地を旅しています。その目的は「白いライオン」の追跡。何度も死ぬような目に会いながら、ライオンへの憧れは、伯父さんを惹きつけて止みません。どうした風の吹き回しか、伯父さんはその顛末を甥っ子に教える気になったのです。

    おんぼろのタイプライターで打った文字と、伯父さんの手書きの絵からなる手紙です。タイプライターの「と」や「は」や「な」は字が濃く出過ぎてしまうし、「お」や「に」は薄すぎます。どじなジャクスンはときどき、肉汁やコーヒーを手紙にこぼし、伯父さんはそのたび「あぶらくそっ!」と叫んでは、でもその手紙をそのまま「ボク」に送ってくるのです。

    どこか不思議な世界で伯父さんが繰り広げる冒険は、手に汗握る悲愴感が漂うというよりは、とぼけたユーモラスな雰囲気です。
    「木いちごのように小さい邪悪な眼」を持つシロクマとの闘いが最高。

    ちょっと偏屈で辛辣な伯父さんと、とんまで愚鈍なジャクスンの凸凹コンビは、伯父さんが何といおうとすてきな組み合わせだ、と私は思います。


    *鉛筆画だと思うのですが、挿絵がすばらしい。原画が見られたらいいのになぁと思います。

    *巻末の解説によれば、著者は「ゴーメンガースト」三部作で知られるそう(創元推理文庫より刊行)。こちらはまたがらりと違う雰囲気で、ゴシックと超現実とグロテスクと不条理が混じり合ったもののようです。大作のようなので、こちらはご縁があればということで。

  • 絵が最高です。(特にジャクスン) 。こんな本こそもし原文で読めたら..!意味だけでなくニュアンスまで読み取れたらどんなに楽しいのでしょう...と悔しくなりました(笑)。

  • 長いあいだ行方不明だった変わり者の伯父さんから、ある日突然、甥のところに手紙が届きます-手紙は古いタイプライターで打たれていて、誤字脱字だらけ、おまけに絵がふんだんに入っています。そして、そこで語られるのは、探検家の伯父さんとその家来である「亀犬」ジャクスンの脱線コンビが「白いライオン」を追跡して北極を舞台に繰り広げる、ほらふき男爵も顔負けの奇妙奇天烈、奇想天外な冒険譚にほかなりません。
    原題:Letters from a lost uncle
    (1948年)

  • 文学

  • こんなへんてこな本はちょっとないかも

  • とにかく素敵な本。
    マーヴィンピークの画家としての魅力。
    小説家としての魅力。両方が詰まった1冊。

  • 長いあいだ行方不明だった変わり者の伯父さんから、ある日突然、甥のところに手紙が届きます―手紙は古いタイプライターで打たれていて、誤字脱字だらけ、おまけに絵がふんだんに入っています。そして、そこで語られるのは、探検家の伯父さんとその家来である「亀犬」ジャクスンの脱線コンビが「白いライオン」を追跡して北極を舞台に繰り広げる、ほらふき男爵も顔負けの奇妙奇天烈、奇想天外な冒険譚にほかなりません。

  • 長いあいだ行方不明だった変わり者の伯父さんから届いた、誤字脱字
    だらけでたくさんの絵の入った手紙。そこには探険家の伯父さんと
    亀犬・ジャクスンが繰り広げる奇想天外な物語が…。大人から子供
    まで楽しめる奇妙な絵物語

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