- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344041974
作品紹介・あらすじ
ドラマ化も話題となった大ヒット作『さよならの向う側』の著者が贈る、最新作!「――あなたの“居場所”はどこにありますか。」謎多き校務員と悩みを抱える4人の高校生が織りなす、青春ヒューマン物語。舞台は高校。恋愛、ガチャ、SNS……現代特有の悩みを抱える高校生たちを、校務員・平人生(通称:人生先生)が導いていく。「誰にでもビオトープ(居場所)があるということを分かっていてほしい」という著者の想いが詰まった、青春物語。第1章 恋と愛のちがい第2章 運とかガチャとか第3章 不幸せになる方法第4章 生きる意味ってエピローグ 人生のビオトープ
感想・レビュー・書評
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タイトル通り、中高生向きの本かな。
人生先生が、悩みを抱える高校生にお題を出して、解決へと導いてくれる。
第四話「生きる意味って」は、大人にも響くものがあった。
生きるために生きる。ほんの少しの希望で人は生きていける。
人と比べることなく、毎日をただ生きていると、幸せだと思える瞬間に出会えるというのは、確かにそうだなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「恋と愛の違いはなんだと思いますか?」
高校の校務員、平人生に恋愛相談をした藤崎葵は、逆に問われる。
葵は隣のクラスの飯野と大学4年生の東山の両方から好意を持たれている。このドキドキは恋なのか、愛なのか。東山と2人でカラオケをしていると顔が近づいてきて…
4編+エピローグの連作短編集。
第1章 恋と愛の違い、第2章 運とはなにか、第3章 幸せとは何か、第4章 生きる意味とはなにか、を悩む主人公たちに平が問い、最後に語ります。平の語りに癒されます。
それにしても、なんで先生、そこにいる!?と言いたくなるほど、先生が都合よく現れてピンチを救ってくれます。それがパターン化されていて、なんだか昔のヒーロー物のようだな、と微笑んでしまいました。
最近直木賞や芥川賞作家の作品を読んでいたせいか、この本の素直に読めるどストレートさに好感を持ちました。 -
さらっと読めちゃう。読書に慣れていない高校生には読みやすくていいかもしれない。
4人の高校生それぞれが、恋愛や運、幸せ、生きることについて身近な出来事に触れたり、考えたりすることでストーリーが進んでいく。
校務員の人生先生(意外と若い方でした)が、彼らの相談役となり、救済者となるのだが、なかなか謎の多い人物で、まだ続編が出るのかな?と思いつつ読み終えた。
ちょっと道徳の教科書っぽい感じがあって、物語とビオトープとの関わりが少なかったかな…。
ともあれ、多感な高校生、彼らがビオトープ(居場所)を見つけられるといいなと思う。物語でひとまぶの完成を果たした中庭のビオトープも、これからどんな生き物が住み、育まれていくのか楽しみである。
全然関係ないけれど、武者小路実篤の『真理先生』がちらついて、あちらの方が物事への掘り下げが深かった気がする(高校時代に読んだのではっきりこうとは言えない)ので、比べてしまったかもしれない。
なんにせよもう一度『真理先生』を読み直したくなった。 -
謎の校務員、人生先生が高校生の相談にのるスタイルで綴られていく、本当に今どきの高校生の悩みでもあり、今を生きる私達の悩みに答えていく作品です。
恋と愛の違いは?
運を上げる方法とは?
幸せになる方法とは?
生きる意味とは?
考えてみると全くわからない、もしくは少しは考えたことはあるけど深くは考えたことはない、何なら考えても答えを出したことはないことに人生先生が答えてくれます。
今、人生先生が答えてくれると書きましたが、少し語弊があります。
答えはそれなりに教えてくれますが、基本的には自分で考えていくスタイルで、人生先生が出した答えが全てではないのです。
でも、人生先生が出した答えで良いんじゃね?と思ったりします。
それくらい、良い答えを出してくれる上、生きるために必要なもの、それがビオトープであり、それを作り上げることもまさにビオトープということなんだろうなと思いました。
今作の高校生たちの共通というか、いわゆる通常の高校生は衣食住が確実に保障されている高校生であるということをまずは忘れてはいけないのかなと思いました。
世界を見ると戦争をやっていて明日どころか1時間後の自分が生きているかどうかすらわからない境遇の子供たちもいるし、学校にも行けない、今日を生きるために食べるために働かないといけない日本の高校生と同じくらいの年の子がいっぱいいる。
つまり、世界を見渡せば、衣食住や基本的に恵まれている日本の高校生たちの悩みというのは贅沢でちっぽけかもしれない。
また、私達はネットで簡単に調べられるはずの世界の国の暮らし、例えば日本よりも発展していると思うアメリカなどの国の生活を調べようとはしない人が多いと思います。
なんだかんだで、今の暮らしには満足すらしているかもしれないはずなのに、悩みが尽きないし、なぜか他国よりも同じ国の他人と比べがちなんだなと思いました。
そんな高校生たちの悩みはじゃあバカバカしいのか?というと決してそうではなく、むしろ答えが出ないことについて考えることの大切さを教えてくれるそんな作品だなと思いました。
生きるためのビオトープ。
きっと当たり前過ぎて気が付かないだけで、本当はもうビオトープを得ているのかもしれない。
そんなことを考える40代のビオトープでございました。
考えることも大事ですし、当たり前のことが当たり前でないことに気がついたりすることも大事。
何も考えずに自然と生きるのも良いですが、たまにはこういうことを考えても良いかもですね。
答えがない、正解もないかもしれませんが、たどり着いた答えこそ、私の、もしくはあなたのビオトープなのだと思います。 -
「恋と愛の違い」
「運とかガチャとか」
「不幸せになる方法 」
「生きる意味って」の4話とエピローグで構成された連作短編集。
物語の舞台は奏杜高校。
この高校のイケメン校務員・平人生(通称:人生先生)の元には日々、悩みを抱えた高校生が訪れる。
二人の男性から好意を寄せられどうすべきか悩む藤崎、運を上げる方法を知りたい坂東、生きる意味が分からない陽菜。
それぞれの悩みに人生先生が真剣に向き合い寄り添ってくれる。
様々な生物が生きる場所を意味する『ビオトープ』。
皆が自分の居場所を見つけられますように。
若い世代にお薦めの一冊。 -
一気読みしました。
恋と愛の違い…
私は、恋は見返りを求めるもの、愛は見返りを求めないものと考えていた。
恋は好きな人に振り向いてもらいたかったり、好きになって欲しいという感情があるけど、愛は自然とこの人のためにと行動しているから。
この本ではちょっと違った。
どれも正解らしい。
100人いれば100通りの考え方があるよね。
他にも運についてや生きる意味についても考えさせられる内容だった。
難しい文章ではないので読みやすかったです。
高校生の姪っ子にプレゼントしようかな。
この本、来年のブックサンタにしよう。 -
奏杜(かなでもり)高校で、清掃や管理など学校の環境整備を担う校務員の平人生は、生徒たちに『人生先生』と呼ばれ、慕われている。今日も同級生とバイト先の先輩の2人から好意を寄せられ、悩む少女が相談にやってきて……。
甘いものが大好きで、生徒に対してもいつも丁寧語。「恋と愛のちがい」や「運がいいって?」「生きる意味」など、悩める高校生に寄り添い、自ら「考える」ことを促す人生先生って何者?大人から見ると些細に思えることも、未来の見えない少年少女には、動かせない高い壁にも思えるのかも。SNSの功罪や不幸を感じてしまう理由についてなど、大人でも考えさせられてしまう。 -
謎多きイケメン校務員・平人生のもとにやってくる高校生たちはみな、現代特有の悩みを抱えていて…。先生は生徒と対話し、生徒自らに考えてもらうことで彼らの悩みに寄り添っていく。中高生くらいの年代の方におすすめ。
人生先生はいったい何者なんだ…。
ともかく、みんなで作ったビオトープは良いものになるに違いない。水野さんとかぶるけど、私も自分のビオトープを見つけたいと思う。