ゴーメンガースト (創元推理文庫 534-2)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (679ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488534028

作品紹介・あらすじ

巨大な迷宮のごときゴーメンガースト城。その当主は、いまだ年少の第77代伯爵タイタス・グローン。彼は、何千年も前から繰り返される煩瑣な儀式に飽き、未知の外界への強い憧れを抱きはじめた。城中では、一使用人から成り上がったスティアパイクが狡猾な陰謀の罠を張りめぐらしていた。アダルト・ファンタジーの大傑作はいよいよ佳境に入る。

感想・レビュー・書評

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  • ゴーメンガースト三部作の第2巻。
    1巻に続いて、矢張り城の存在感が凄い。この異形の城があればこその物語だということを実感する。城というより何かひとつの有機的な生き物のように思えてくる。
    登場する全てのものに対する過剰なまでの描写はクドく感じることもあるが、これがあればこそ、という気もする。

  •  昼なお暗し! 奇々怪々。異形のもの。迷宮のように複雑に入り組み、城の外とは全く別世界。この物語の舞台装置は複雑怪奇に入り組み、人を惑わします★

    『城』評で「カフカが書いてもいない城を私は想像している」と述べましたが、評者がイメージするそれは、明らかにゴーメンガースト城から影響されているものです。ひたすら巨大で何やらいかがわしく、おどろおどろしくもある、悪夢めいた城――

     若き城主タイタス・グローン。彼は、産声を上げた瞬間からゴーメンガースト城の一部に組みこまれていて、城の歴史をその身に背負わされています。
     一方で、この城を我が物にせんとたくらみ、暗躍する若者・スティアパイクも登場。狡猾なふるまい、底知れぬ野心!
     誕生の刻から正当な城主だったタイタスと、その座を奪わんとし暗い野望に燃えるスティアパイク。一巻では、二人が初めから激突することを運命づけられているのが暗示されます★

     その対決が実現するのが、第二巻です。息づまる死闘が演じられ、特に水中場面の壮絶さは、こちらが酸欠にも似た頭痛に見舞われるほどでした。
     必然ということの抗いがたい魅力に満ちた戦いです。目に字のあとが食いこむんじゃないかというほど、ページを見つめた。活字に巣食う闇の世界に、連れていかれる喜びがありました。心は、運命にわしづかみにされる瞬間を待っているのです!

     続く三巻『タイタス・アローン』では、タイタスが城の外へ飛び出すまでを見届けました。
    <ゴーメンガースト三部作>は、英国では『指輪物語』と双璧をなすファンタジーの傑作として知られていながら、日本での浸透度がもう一つふるわないのですが、その理由が明らかになる巻とも言えます。日本人読者は、完成度に結構厳しいんだろうなぁ……★ しかし、閉鎖された城世界を綴っていた物語が、解放と同時に破綻をきたしたことも、ある意味、強く印象に残ったのでした。

  •  タイタスがどのような形で城を出るのか、そしてスティアパイクとの因縁はどうなるのか。自分の予想と違って、実に堂々としたものだった。
     面白く思ったのは、主要な人物の多くが、読み進めるうちに第一印象とは違う一面を見せることだった。この巻だけでも物語は10年ほど進んでいるから、精神面での変化というものもあって当然ではあるが、特にフューシャと伯爵妃は印象に残った。伯爵妃がここまで格好良く思えるとは第1部を読んでいるときには予想だにしなかった。
     訳者あとがきでも触れられているが、陰気で重々しい石と暗闇の世界の中で、時折見られる光の描写がこの世界の幻想性を引き立てていた。

  • 長い長い長い長ーい。あまりの長さに何度か挫折しそうになりましたが、最後まで読み終えましたよ。世界から切り離された辺境の地、閉ざされた城で生まれた主人公タイタス。しかし一部はタイタスにほとんど触れていないという。タイタス、赤ちゃんだったもんね。実写化するなら是非マツコ・デラックスさんに演じて欲しい王妃。ひたすら陰気な伯爵。そしてお転婆だけど思慮深い姫。彼らを巡る複雑な物語はそう簡単には説明できません。つーか荒木飛呂彦さんがコミック化したら面白いと思う。王妃、凄い描写になるんだろうな。

  • 世界の全てはゴーメンガーストなのだ。
    ゴーメンガーストが世界なのだ。
    世界はゴーメンガーストであり、ゴーメンガーストは世界なのだ。

  • 冷静で酷薄なスティアパイクが初めて熱に浮かされたよう踊るシーンが圧巻。巨大な城の大半を沈めるほどの大洪水。奥方カッコヨス。

  • ゴーメンガースト城に蠢く血なまぐさい陰謀劇。
    一転、各キャラの輝かしくも儚い刹那の行動に涙する。

    なお、英BBCによって長編ドラマ化されており、DVDも出ている。セットはショボショボだが、無闇に演技派な俳優達にちょっとニヤリとされられるでしょう。

  • 陰気なファンタジー。2巻目。

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