- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488564117
作品紹介・あらすじ
夜霧と城館、墓地と黒い森、マントを羽織った黒衣の人影。ヨーロッパの最深部に見え隠れする魅惑的な光景は、日本においても、作家たちの情念を掻きたててやまなかった。その代表格たる須永朝彦と菊地秀行を巻頭に据えた本書は、日本の新旧文豪たちによる吸血鬼小説と名作翻訳の集大成である。
文人たちが織りなす、紅蓮の血と哀切な宿命の饗宴。巻頭に須永による蠱惑の手書き掌篇を、巻末に深井國による幻の吸血絵物語を特別収録!
感想・レビュー・書評
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おなじみ東雅夫の吸血鬼アンソロジー。須永朝彦追悼的ニュアンスの強い1冊。他の吸血鬼アンソロジーで既読のものも多く、ラインナップとしてはそれほど新しさはなかったかな。まあ柴田錬三郎や小泉八雲が収録されているのは面白かったかもしれない。
菊地秀行のヴァンパイアDは、大昔に1冊くらいは読んだ気がするけれど、こういうアンソロジーに収録するにはちょっと大作すぎて難しそう。収録の短編は、これだけ読んでもよくわからない。乱歩のは小説ではなくエッセイ。種村季弘のも無論エッセイだけど、チョイスとしては個人的にはこれじゃなくてもと思ってしまった。
日影丈吉は戦後の異国の実話風で完成度は抜群。小泉八雲は、怪談としてオチのひとこと(吸血鬼の正体)が秀逸。深井国の絵物語もエロティックで良かった。
※収録
須永朝彦「彼の最期」「三題噺擬維納風贋画集」「死者の訪ひ スロヴァキア古謡」
須永朝彦×菊地秀行「吸血鬼 この永遠なる憧憬」
菊地秀行「D-ハルマゲドン」
種村季弘「吸血鬼入門」
江戸川乱歩「吸血鬼」
城昌幸「吸血鬼」
柴田錬三郎「吸血鬼」
日影丈吉「吸血鬼」
都筑道夫「夜あけの吸血鬼」
小泉八雲「忠五郎のはなし」
日夏耿之介「恠異ぶくろ(抄)」
ジョージ・ゴードン・バイロン/南條竹則:訳「断章」
ジョン・ポリドリ/佐藤春夫:訳「バイロンの吸血鬼」
テオフィール・ゴーチエ/芥川龍之介:訳「クラリモンド」
マルセル・シュウオッブ「吸血鬼」
須永朝彦「小説ヴァン・ヘルシング」
深井国「ドラキュラへの慕情」 -
発売日を楽しみに待ってた一冊。
これはめちゃくちゃ面白い。こういうダークな世界観に惹かれるタチなのでどっぷり浸ってしまい、もっと吸血鬼文学を読みたくなった。東雅夫先生に感謝。
いつの時代、国でも吸血鬼は美しく人を惹きつけ惑わすものとして描かれている。
西欧の古典吸血鬼小説は圧巻である。面白く、そして恐ろしい。小説ではなくてリアルなのではとワクワクしてしまう。個人的に好きなのはバイロンの吸血鬼とクラリモンド。クラリモンドはもはや狂気である。芥川龍之介の翻訳も読みやすく、旧仮名遣いになっているのも雰囲気と合ってて良かった。
その一方で日本の吸血鬼文学も良い。日常に潜む恐怖…。 -
タイトル通り、本当に名作揃い。
どれも好きなんだけど、特に柴田錬三郎「吸血鬼」が妖美さだけじゃなくてグロテスクもありで怖い。
あと、都筑道夫「夜あけの吸血鬼」も不気味で得体の知れぬところが良い。
須永朝彦は言うまでもなく!好き!
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中学生の頃から好きな吸血鬼のお話。古今東西新旧の作品が集められ、読み終わったらちょっとお腹いっぱいな感じ。主に古い作品の邪悪や淫蕩なイメージがそうさせるのか。
それよりも孤高、悲哀、儚い、といったイメージが好みなんだと改めて認識した。
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ほとんど未読だったのが驚き。ポーの一族くらいしかよんでなかったてこと。
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高貴な血筋のあなたへ。就寝前の明け方、棺桶でくつろぎながら読んでほしい、エレガントな精華集。おやすみなさい、よい悪夢を。
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