安らぎは罪の上に。
日常は罰の下に。
物語としての目的がはっきりしていない作品だけに、終着点がいまいち予想できないのだけれど、
最終的にやはり、春日のファム・ファタールになりうるのは常盤さんではないのだろう。
常盤さんはきっと作家になって、何かのすごい賞をとったりするのだ。春日はどこか彼女の知らない場所で、そのことを知るのだ。
けれど常盤さんが小説に書いたのは、彼女自身を小説に向き合わせた若き日の恋人のことであった。その恋人がかつて語ってくれた蒼き日の罪のことを、彼女は小説にすることで彼を罰し、そして救ったのだった。
最終回では、まだ罪を拭いきれずにいる春日青年が、常盤さんのデビュー作であるその小説を、町の小さな本屋で手にするところで終わる。
その小説の題名が、若き日の恋人が敬愛して止まなかったヴォードレールの詩集の題名からとられていたことは言うまでもない…。
つまりこのマンガ『惡の華』とは、常盤さんが春日少年との日々を題材に書いた小説『惡の華』だったのである。
という「ループ説」を提唱してみる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2014年1月11日
- 読了日 : 2014年1月11日
- 本棚登録日 : 2014年1月11日
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