私は、中身が空っぽだった上に、(カバー裏の言葉を借りると)思春期に苛まされた口だ。
個人的に、孤独とそれを重ね合わせる春日の姿が印象的な巻。
是非、常磐の言葉とその次にくる春日の表情から彼の気持ちを想像してもらいたい。
高校生らしく楽しむ人とは一線を引く春日が細かい描写で描かれている。
7巻から見られるその表情は彼の壁を感じさせるばかりで、切なくなる。
そこに遠慮なく踏み込んでくる存在、上かあら見下ろすその視線には、嫉妬からくる悪意しか感じない。
それでも春日と常磐から感じたのは、その人達に対する優越感でもなく嫉妬でもなく「違う」という気持ちを強くさせる
孤独。これに尽きた。
高校生時代にありがちだった、周囲の目を気にするあまり表にだせない物・・・
その孤独に感じる領域に手を差し伸べられると、人は掴まずにはいられないのだろう。
表紙の春日の腕は差し伸べているのではなく、常磐という共感できる人に引っ張って欲しいという願望の現われだろうか。
そこまで想像させといて119Pの、それまでとは全く異なるあの表情にはやられたなーという思わずには居られなかった。
レストランで向かい合う2人、昔好きだった人を今好きな人に重ね合わせているという両者の共通点と、
一方で「そうなるよ」と断言する彼女は自分と常磐を重ね合わせ、同じ末路を辿ると述べているように感じた。
それでも彼女は前に進み満足している、しかし、春日には断言している。
そして彼の気持ちを自分のことのように理解しながらも、前に進めず幸せになれない姿に失望とリアルを突きつける終盤のシーンもまた印象的。
- 感想投稿日 : 2013年6月14日
- 読了日 : 2013年6月14日
- 本棚登録日 : 2013年6月14日
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