風と共に咲きぬ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 70
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041136638

作品紹介・あらすじ

<少女漫画の脇役>鈴木花子はいつもキラキラまぶしいヒロインの恋を盛り上げる存在だった。<戦隊ものの敵役>怪人ブルタンは愛する家族を残し、地球という星のジャスティスレンジャーに勝負を挑むが多勢に無勢、故郷に戻れず爆発。<戦隊モノの端役>ジャスティスグリーンは決してセンターをはることはできない――。脇役、敵役、ちょい役、そんな哀愁漂う陰日向に咲く登場人物たちの物語は悲喜こもごも。「いつか自分が主役に」という彼らの思いは、道ばたに咲くタンポポの綿毛に託されて飛んでいく。「風に乗って行く当てもない旅を始めるなんて、何かの映画の主人公のような設定だ」。脇役たちの強烈な思いが人生を照らす、心温まる連作短編!

感想・レビュー・書評

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  • 物語の脇役にスポットライトをあてた連作短編集。
    清水さんの今までの作品とは、ちょっと違った雰囲気を感じた。
    個人的には第4話「役者の斬られ役」が一番好きだった。
    「あなたの人生の中では、あなたが主役」
    そうか、私も主役だったのか。
    チャップリンも「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」と言ったように、自分の人生をちょっと俯瞰して物語を楽しめたらいいなと思った。

  • 脇役ポジションの物語。はなちゃんは脇役かもしれないけど、友達だったら1番!って気がする。エピローグでまさにそれを感じる。ブルタンとジャスティスグリーンの話は分かりづらいが哀愁を感じる脇役の辛さよ。人生はチョイ役、脇役、敵役が必要だけど、みんな自分の人生では主役だ。

  • 舞台の脇役だったり、舞台にも立てない観客だったり、主役じゃない人もしっかりとそれぞれの役割を果たすからこそ舞台は映える。

    そんな風に吹かれて着陸したところで根を張り、しっかりと綺麗な花を咲かせるために生きている。その存在はもしかするとほとんどの人に知られることはないかもしれないけれど。

    そんな、たんぽぽみたいな人たちが織りなす物語が本作です。

    本作は、文章が面白く、クスッと笑いながら読める作品ですが、いろんな人に刺さるだろうと思うスパイスが所々に散りばめられています。

    恐らく、読んだ方の殆どの人が自分と重ねてしまい、入り込めるんじゃないかと思います。

    そんな本作で語られるのは、もしかしたらありきたりかもしれないですが、誰の目にもとどまらないかもしれない道端のたんぽぽも実は頑張って根を張って生きているし、そのたんぽぽが誰かを癒すかもしれない。

    多くの人は主役にみたいな人生を送れないと勘違いしてるんじゃないか?私も含めそう、そう思っています(何なら今も思ってます)。

    ただ、本作品を読んで思うのは、確かに脇役だったり、観客だったりするかもしれない私のもしくはあなたの何気ない日常の主役は私であったり、あなたです。

    現に、登場人物皆が脇役みたいな方々かもしれませんが、彼ら彼女達が間違いなく、本作のヒーローであったりヒロインなんです。彼ら彼女たちからみたら平凡かもしれませんが、そんなことを思う人は恐らくこの本を読んだ方は思わないはずです。

    つまり、私やあなたの普段のなんともない平凡だと思う生活は、観客側から見ると主人公やヒロインと変わらないということなんだろうなと気づきます。

    そして、その平凡だと思う生活や、決して世間からは普通と思われる生活も、一生懸命生きればそれなりの花を咲かせていて、その花が集まればだれかの役に立っていたり、誰かのヒーローになっている。

    この作品の最後を読んで、Mr.Childrenの『彩り』のなんてことのない作業が目の前の人の笑い顔を作ることもあるし、ドンブラザーズの雉野役の俳優の鈴木さんが舞台挨拶で言っていた、「誰かを救ったら、それはその誰かにとってあなたはヒーローなんだ」という意味もわかる気がしました。

    殆どの人は歴史に名を残すこともない人です。今有名なあの人も、成功していると言われているあの人も100年後どころか10年後には忘れ去られてしまう人かもしれない。

    勿論、私もほぼ間違いなく、名前も知らないまま、やがてこの世を去る人です。

    しかし、今、ようやく咲きかけのたんぽぽを頑張って咲かせれば、誰かの記憶に残るかもしれない。生きるってそういうことで良いんだと思うし、この感想が誰かの目に触れて、本作品を読んで一生懸命生きれば、肩の力を抜いて気楽に生きたらええんやというのが伝わったら良いなと思いながら、本作品の感想を残したいと思います。

    道端にひっそりと咲くたんぽぽのように。



  • なんだか心があったかくなる本でした

    たとえ脇役だって、そこにスポットをあてたら主人公になれるし、主人公は良い脇役がいないと光らない

    どこにでもいる人かもしれないけれど、私はどこにでもいない

    脇役も突如、主人公になれるときがきっとくるよね?

  • Amazonの紹介より
    脇役、敵役、ちょい役――哀愁漂う陰日向に咲く登場人物たちの感動の物語!
    鈴木花子はヒロインのお友達ポジションでいつも恋を盛り上げる存在だった。怪人ブルタンは愛する家族を残し地球に出陣するが、正義のヒーローを相手に敗北。正義戦隊ジャスティスグリーンは決してセンターをはることができない。脇役、敵役、ちょい役――。そんな哀愁漂う登場人物たちは今日も主役を引き立たせていた。人生という名の舞台で奮闘する彼らは、物語に大輪の花を咲かせることができるのか。心温まる連作短編!



    どっちかというと脇役のポジションですが、今回は主人公の立場ということで、何事もめげずに頑張る姿は、光り輝いていました。主役を引き立てることも立派なポジションであり、決して要らない存在ではありません。サイドプレーヤー達の活躍にクスッとさせられつつ、感動しました。

    ただ、主人公にすると、ちょっとインパクトが薄いかなと思ってしまいました。

  • 脇役
    タンポポ

    それぞれが主役
    心がほっこりするお話ばかりでした。
    ありがとうございます。

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著者プロフィール

千葉県出身。2011年、函館イルミナシオン映画祭第15回シナリオ大賞で最終候補作に残る。15年、『海の見える花屋フルールの事件記 ~秋山瑠璃は恋をしない~』でデビュー。著作多数。2021年、『さよならの向う側』が話題になり、連続ドラマ化も決定。近著は『さよならの向う側‐i love you‐』。

「2023年 『風と共に咲きぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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