10年も前の話、口封じしようと訪れたわたしたちに死にかけた男が語ったのは、ビルマ奥地の神殿からルビーを盗み出した者に執拗につきまとい伝播する呪いだった…(「悪夢のジャック」)、神経症のため海沿いの田舎町で静養していた男は、その土地のただならぬ不吉さを察知するが…(「悪い土地」)など、表題作の中篇ふくむ全8篇。とらえどころのない違和感が積み重なってじわじわ神経を逆なでする「ブレナーの息子」がダントツに嫌な感じで好き。ブレナーからの手紙が届いた朝、裏庭で地面を掘っていたというなにげない一文に不吉な意味づけをしたくなる。「ふたりの提督」は、世界が裏返る感じが非常に面白くてC・プリーストっぽいと思ったり。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
怪奇幻想
- 感想投稿日 : 2019年6月1日
- 読了日 : 2019年5月31日
- 本棚登録日 : 2019年6月1日
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