2/3の不在

  • アーティストハウスパブリッシャーズ
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048981828

作品紹介・あらすじ

ひとりの男が、ラスヴェガス郊外のネヴァダ砂漠で発見される。所持していたカードから、男はサムソン・グリーン、36歳、コロンビア大学の英文学教授で、8日前から行方不明になっていたことが判明した。その後、病院で脳にサクランボ大の腫瘍があることが見つかり、手術の結果、サムソンの過去24年間の記憶は失われ、12歳までの記憶しか残らなかった…。ニューヨークの自宅に戻ったサムソンは、愛していたはずの妻、情熱を傾けてきた仕事、そして自身の人生、彼を取り巻く世界そのものから取り残されてしまった疎外感に苦しむ。そんな折り、レイ・マルコムと名乗る科学者から、ネヴァダ砂漠の研究所での脳医学実験に参加しないかと声をかけられる。ニューヨークでの孤独な生活から逃れ、だれも自分を知らない地での新生活に賭けようとするサムソンとは対照的に、妻アンナは、自分の愛した夫がもう二度と戻らないのではないかと危惧を強めてゆく。人は愛の記憶なしに、だれかを愛することができるのだろうか?空白の記憶をかかえた男の絶望と再生をとぎすまされた文体で描く、米文学界期待の大型新人のデビュー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 人生の2/3の記憶を失うということ。

    主人公が心に抱える空白は、途方に暮れてしまいそうに大きくて、音を吸収してしまう雪の上のように冷たくてしん、とした空気が漂っている。
    喪失を感じられる場所は、はじめから何もなかった場所よりも切ない。

  • 自分の生きてきた人生の2/3が無くなるって本当にひどい衝撃。
    幻想的

  • ラスヴェガス郊外のネバダ砂漠で発見されたサムソンは記憶を失っている。脳に腫瘍ができていたのだ。
    腫瘍を切除した後、彼の記憶は12歳までのものとなってしまった。24年間の記憶がないにもかかわらず非常に明晰で、失われた過去を躍起になって取り戻そうとはしない。
    神経科学者レイの関わるプロジェクトで他人の記憶を移植される。

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著者プロフィール

1974年、ニューヨーク生まれ。十代から詩作を始め、スタンフォード大学在学中に詩人ヨシフ・ブロツキーに出会い師事。2002年の長篇デビュー作『2/3の不在』がロサンゼルス・タイムズ文学賞の最終候補作となり、一躍注目を集める。『ヒストリー・オブ・ラブ』(2005)はサローヤン国際文学賞とフランス翻訳小説賞を受賞、Great House(2010)は全米図書賞の候補作、オレンジ賞の最終候補作に選出された。2017年発表の本書『フォレスト・ダーク』は構造・テーマともさらに深めた意欲作で、「これまでの長篇のなかでも最も核心に迫る」と高く評された。初の短篇集To Be a Man(2020)はウィンゲート文学賞を受賞。《ニューヨーカー》《アトランティック》《ハーパース》《エスクァイア》などに短篇を発表しており、『ベスト・アメリカン・ショート・ストーリーズ』にも収録多数。クラウスの作品は、これまでに37カ国語に翻訳されている。2020年、コロンビア大学ザッカーマン神経科学研究所初のライター・イン・レジデンスとなる。2021年には優れたユダヤ文学に贈られるサミ・ロア賞を受賞。

「2022年 『フォレスト・ダーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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