ポケットいっぱいの外国語

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062141956

感想・レビュー・書評

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  • こころの洗われる本である。黒田さんの本はどれもことばに対する損得抜きの愛に満ちている。わずか150ページの本だけど、なんども読みかえしたいところがあった。曰く。「言語を多く知ることはそれだけ人生を豊かにする」「ことばなくして文化の理解はありえない。英語だけでは見えないことがたくさんある」「利益にならない英語、役に立たない英語、くだらない上昇志向と無縁の英語を追究することによって、『世界の見え方ががらりと変わる』そういう意味だったら、わたしも英語が好きだし、ロシア語はもっとそうだ」黒田さんは今はフリーの語学教師だ。つまり、大学をやめたのだ。なぜだろう。その答えもこの本の中にあった。

  • 言語って楽しい。

    英語とそれから色々な言語について書かれたエッセイ。語学を役に立てるとはどういうことか、一度でも考えたことがある人は楽しめるだろう。

  • 日本語以外の言語は、何一つマスターしたわけではないが、いろんな国の言語にチャレンジしたい気持ちは持っている。英語以外の語学にも親しみを持って接していけたらいいなぁと思っている。そんな気分の時に出会った本。

  • この著者の本はどれも面白いなぁ。ここでは主に英語とロシア語、他スラブ系言語やリトアニア語に触れています。量として、中~高校生からも薦めたい。
    現在の状況の英語を肯定も否定もしていない。自分の研究言語に固執しているわけでもない。でも、なんだかんだ言って言葉というのが楽しいというのがとてもよく伝わってきます。だから、読んでいるこっちも楽しくなるのですね。

  •  2000の単語が覚えられません。

  • 2012.10.26 一万の単語を覚えれば外国語は話せる

  • 面白かったです。

  • 難しい話を分かりやすく...が身上の著者・黒田さんは論文を書いてもエッセイだと言われてしまうロシア語・英語大学講師。
    本の厚みはとても薄くて、文体もライトでとても読みやすいが普段触れない外国語や文化に関する興味深い話題や英語についてとても軽妙に時に疑問を投げかけながら話してくれる。
    体育会系の英語の話、英語嫌い、文系・理系の英語、なんかとっても思い当たるお話が整然とわかりやすく分析されてて、結局自分に合った勉強法を探すしかないんだし、そんな短期間に習得できないとちょっと胸の痞えが取れた感じ。

  • エッセイ集。いや、書の冒頭に先生曰く、
    ・論文を書くのがニガテ。
    ・というより「解りやすく」を追求すると「威厳が無い」だの
    文体が論文ではない」「これではエッセイだ」と言われる。
    ・「いかめしく」書くのがどうもエラそうで気恥ずかしい。
    だから、エッセイを書く。エッセイみたいな文体で論文を
    書く。論文集として認めてくれないだろうから、自分で
    本を出す。
    本当、黒田先生らしい、というか「ならでは」の書。
    本来、高価なペニンシュラのチョコをひとつずつ口に含む
    ように、一遍一遍、惜しむように愛でつつ読みたいな、
    と思いつつ、一気食いしてしまった。

    ■愛される英語
    あるとき思いたって英語の勉強を始める。そしてそのことを
    友だちに話す。…へえ、そうなんだ、英語の勉強してるんだ…。
    でも、なぜ?とは決して尋ねてこない。英語は愛されるのが
    当然だからである。これが、たとえばロシア語だったとする。
    すると友だちは急に質問を始める。なんでまた?ロシアに
    行きたいの?ロシア人の知り合いでも出来たの?危ない
    商売にでも手を出したの?もしかして共産主義者?
    (さすがに最後の質問は最近では聞かれなくなった)
    →ああ。。これも解る。私も最後の質問は問われた世代。

    ■リトアニア語の夏休み
    よせばいいのに、またもや新しいことばを勉強しながら苦しんで
    いる。しかも今度は慣れ親しんだスラブ語系言語とちょっと違う。
    いつも以上に素晴らしく豊かな変化型を持ち、おそろしく複雑
    なアクセント体系を有する。この素敵な言語をリトアニア語という。
    言語学を学んでいると、インド・ヨーロッパ比較言語学のところで
    この言語に必ず出会う。アントワーヌ・メイエ先生曰く
    「私たちの祖先である印欧語民族がその昔どのように話していた
    かを知りたい者は、リトアニアに出かけ農民たちの言葉に耳を
    傾けなければならない」。メイエばかりでなくソシュール、シュライヒャー
    レスキーン、フォルウトゥナートフと、偉大な言語学者はみんな
    リトアニア語の研究をしている。憧れるなあ。
    →あああ。また引き摺られて行く。。リトアニア語か。。やってみたい。

    ■言語の秘める力
    稲垣美晴『フィンランド語は猫の言葉』(文化出版局)は「森と
    湖」のイメージしかなかったこの国の文化を、自らの言語体験を
    軸に知的に再構築した。…1981年に発表されたものだが、
    まったく古びていない。これを読んだら誰でもフィンランド語を
    勉強したくなる。
    →ああああ。。次読む本は稲垣さんのその本とフィンランド語の
    語学書。。

    ■多言語なボサノヴァ
    (テレビで「イパネマの娘」を聴き、気に入った黒田先生。ボサノヴァ
    に興味を抱き…)1枚くらい試してみてみようかなと考えた。…初心者
    向けらしきCDを選んでみた。聴いてみると、これがなかなか気持ち
    いい。以来、このCDを流しながら原稿を書くのが習慣となった。
    …(自宅近く、神保町の「新世界レコード」(ソ連東欧の音楽を
    扱う店)でソ連製ボサノヴァを見つけた黒田先生。)…この店で
    多少珍しいCDを見ても驚かないのであるが、…さすがに驚いた。
    …なんだか不気味である。(キリル文字でボサノヴァと書かれている)
    その下にはロシア語で「ソ連で一番美しい音楽」とのキャッチコピーが!
    これは買い求めるしかない。
    →このあたりの感覚も非常に解るというか、激しく同意!

    聴いてみるとなんともいえない気分になる。まず、ブラジルのボサノヴァ
    とだいぶ違う。でもアメリカやフランスのとも違う。なんというか、
    まさにソ連なのである。…だが嫌いではない。旧ソ連時代から通訳
    でしばしば現地を訪れていたわたしには、何だか懐かしくさえある。
    なんだろう、この感覚は?
    →本当、何度でも言うが、この先生が今まさに感じている、すごく
    儚くも、ちょっとしばし委ねていたいようなその感覚は私にも解る。。
    気がする。私は同じ気持ちを当時のソ連のロック、へヴィメタに感じて
    いた。ちゃんとロックしてるけど。。何かが違う。「ソ連」っぽいのだ。
    フォールムだとかマシーナブレーメニとか、好きだっただけに大きなLP
    のレコードをモスクワで買ってわざわざトランクにいれて持って帰って
    来たものだ。更に言えば、黒田先生はここで「ロシア」とは言っていない。
    「ソ連」と言っている。ここの感覚の微妙な違い、というのは私は
    自分で先生と同等のもの、と思い込みたい。思い込ませて下さい。

    ■活字の人
    「簡単な本の多読は外国語学習の王道だよね」と語る管さんに、
    私は百パーセント賛成。そう、ブラジルに行ったからって、それだけで
    言語が上達するはずがない。彼はむずかしくない本をせっせと読んだ。
    これは私も実践している。日本だけでなく、海外でも簡単な本を
    たくさん読んで言葉を滑らかにしていく。
    →黒田先生がめずらしくも、「語学学習の王道」について語っている。
    ひとつの確たるメソッドのようだ。私もすぐ実践してみよう。その後の
    文章で、さらに先生はそのヒントを与えてくれている。

    活字というのは本に限らない。新聞の家庭欄やCDの歌詞カードだって
    外国語を楽しむために必要なアイテム。話題はさらに映画や
    インターネットへと広がる。インターネットは言語マイノリティが主張
    するのに格好の手段…
    →私の手元には中国語もロシア語もCDや歌詞カードはある。利用
    しない手はない。もっとちゃんと気付いていればよかった。。

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著者プロフィール

黒田 龍之助(くろだ・りゅうのすけ):1964年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、東京大学大学院修了。東京工業大学助教授(ロシア語)、明治大学助教授(英語)を歴任。現在、神田外語大学特任教授、神戸市外国語大学客員教授。著書に『ポケットに外国語を』『その他の外国語エトセトラ』『世界のことば アイウエオ』(ちくま文庫)、『外国語をはじめる前に』(ちくまプリマー新書)、『ロシア語の余白の余白』『外国語の遊園地』『外国語の水曜日 再入門』(白水社)、『はじめての言語学』(講談社現代新書)、『ぼくたちの外国語学部』(三修社)、『物語を忘れた外国語』(新潮文庫)など多数。

「2023年 『ロシア語だけの青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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