ぼくから遠く離れて

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 166
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344019508

作品紹介・あらすじ

化粧の似合う男子に恋する少女たち。少女になりたい少年、なりたくはないのに強制的に女装を強いられる青年…Xジェンダー世代を描く21世紀の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • いまどきの大学生である安藤光一がkeyという人間からのメールをきっかけに女装に目覚めていくという話です。これを読んでいると新宿二丁目になぜかいきたくなりました。

    一読して言えることは、普段なら僕はあんまりこういう内容の本を選んで読むことはそんなにないだろうと思ったので、そういう意味では少し新鮮な気がしました、内容はというと、安藤光一という、なんと言いますか、どこにも身のおけない大学生が、ある日突然keyという人間からのメールがきっかけで女装に目覚めていくというものです。で、主人公の光一の女装した時の名前は天使という意味を持つ「アンジュ」というのですが、これもラストの方で重要な意味を持ってきます。

    僕は東京の、しかも(何を持ってそう定義するのかはわかりませんが)良くも悪くも「マトモ」な人たちがあんまりいなかったところに結構身をおいていた時期がありますんで、作中に出てくるセクシャルマイノリティーの存在や、トランスジェンダーにかかわる描写もわりとすんなりと受け入れることができました。そして、安藤光一の周りには結構魅力的な女性が出てくるんですけれど、個人的には彼のバイト先の先輩である滝本良子とモトカノである白砂緑が好きです。

    しかし、物語そのものは結構さらりと読めるというか、全体的にはあぁ、そうですかとしかいいようがなく、主人公があんまり乗り気のしない創作学科にいて、女装をきっかけに猛然とものを書き続けて、最後は大学も行かなくなってしまう、なんていうところは正直、ウーンとうなってしまいました。この小説は読もうと思えば一時間くらいで読めますので、僕個人としては暇つぶしとしてはいいんじゃないですか?という感想にとどめておきます。

  • 男と女のあいまいな境界。
    ドロドロしたものではなく、ちょっとおしゃれな感じに描かれる。

  • 誰かわからない人物からのメールで、
    「強制女装」をうながされる、主人公。

    ・・・てさ~。
    そしてその正体が・・・ってさ~。
    草食系男子が、女装をすることで自分の中のもう一人の自分を解放させる、
    とかさ~。

    ジェンダーを描きたかったんだろうけど、
    なんか独りよがり感。

    デビュー作からいくつか読んでるけど、
    全然年月を重ねた感じがしないなあ。

    一人称が「君」というのも、すごく違和感。
    誰目線なんだこれは?神目線?
    とすれば、辻は神立場なの?みたいな不快感。
    そういう意味で、辻らしい作品という気がする。

  • 久々に辻さんの小説。

    ジェンダーがテーマ。
    草食男子や肉食女子のように、昔とは力関係が逆転しているからだろうか?

    それだけじゃなく、サブカルチャーの面でも可愛いものに惹かれるのが男女問わずあるからだろうか?

    趣味嗜好だけじゃなく、性同一性障害もある。

    両性具有が主とならない限り、ジェンダーは不滅のテーマかな。

    つーか、女性学があって何故男性学はないの?
    って思っちゃったぜ。

  • 自分のところに届いた不思議なメール。
    「女装」すすめる文言、「アンジュ」と名前をつけられた主人公に届けられた宅急便。
    あらがいがたい誘惑により、女装していく主人公は思い出してみれば、幼い頃にも似たような経験があったという…
    こういうことにあこがれを持つ主人公のような男性や、女装する男性に惹かれる女性というのも、いるのでしょうね。
    けれど、内容が薄っぺらな気がするのは、この作品が薄っぺらなせいもあるのではないでしょうか?
    通常のサイズの本に比べ薄くて小型です。

  • ある日、Keyという人物からメールが届く。
    そのメールに導かれるように、光一は"強制女装"によって、もう一人の自分"アンジェ"と出会う―。

    話の筋は分かりやすいですが、"君"と主人公を指して書いていく二人称での文章というのが新鮮でした。

  • どんどん性差がなくなってきてますよね。

  • Keyという人物のメールに導かれ女装に目覚めていく光一。Keyは身近な存在だという。Keyが誰かという謎解きもあるが、男性の女装に対する心理描写に惹かれる面が。

  • 122頁でKeyが誰か分かりました。オモシロく読みました。トランスジェンダーはテレビばっかりで、もてはやされるので小説もガンバッテ欲しいです。荻上直子のモリオも同じくくくれるでしょうか。しかし、トランスジェンダーの中におかあさん的なものを追求する話が経由する点はワンパターンな気がします。

  • 辻仁成のジェンダー、って感じ。いやではないけどあまり面白くないかも。「サヨナライツカ」とか好きだけどな。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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