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- Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9780140274295
感想・レビュー・書評
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性を真正面から扱ったロレンスの諸作の中でも特に有名な小説。上流階級の夫人コニーと森の番人メラーズの禁じられた愛を描く、と書くと安っぽく聞こえるが、それによりロレンスは機械文明に対するアンチテーゼを示したのだと通常言われる。しかしロレンスはここでコニーとメラーズの関係を決して楽天的に理想として描いているわけではない。例えば、小説が終わりに近づくにつれ、二人の階級差がもたらすであろう破綻の兆しが顕著に書き込まれるようになる。「恥」に代表されるようなコンヴェンションを捨て、「自然」へと回帰することで十全な自我を確立できる、という思想を一方で示しつつ、ロレンスは産業資本主義社会におけるその不可能性を認識していたに違いない。読み込めばさらに複雑な諸相が見えてくるだろうと思うが、その暇がないのが残念。
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