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- / ISBN・EAN: 9780385303866
感想・レビュー・書評
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邦題『ゼラルダと人喰い鬼』
子どもを食べるのが大好きな人喰い鬼は、料理が得意な女の子に出会って人生が変わる。
多分、原書がこの『Zeralda's Ogre』という英語版。(ogreという単語に久しぶりに出会ってノスタルジー炸裂した)原書が英語だとすると、かなり目を見張る部分がある。
ゼラルダが手塩にかけて作った美味しそうな料理が並ぶ場面。料理の名前がうっすら「女の子を喰べる」ことを彷彿とさせるネーミングで面白かった。絵として書いてあるメニュー名はフランス語、本文は英語で書いてあって、それぞれ面白い。どちらもウンゲラーが書いたということだとしたら言葉遊びの天才すぎる!
例えば、
(英)Roast turkey à la Cinderella
(仏)Dinde jeune fille
(英)Ogre’s Delight: candied fruits, ladyfingers, and ice cream cakes
(仏)Croque-fillette, sur délice des ogres
日本語はどう訳されているか気になる。
最後のページにもブラックユーモアを効かせていて、面白い。
ウンゲラーの作品は、絶望的な状況を鼻歌うたいながら過ごすと事態が好転していく、という筋が多くて、人生で様々な苦難を経験したウンゲラーが繰り返し浸った空想の世界の投影なのかな?と、ふと思った。
【本作とウンゲラーの人生との隠れた繋がり】
主人公の女の子ゼラルダの名前はどうやら、ゼラルダというアルジェリアの都市名から取られている可能性がある。
ゼラルダーアルジェリアの都市
https://maps.app.goo.gl/jTWjpVCP93m4P2Qj8?g_st=ic
フランス人になったウンゲラーは、インドシナ戦争に行かされることを嫌い、あえてアルジェリアのラクダ部隊に志願して、一時期アルジェリアで過ごしている。
部隊の指揮を任されたウンゲラーは、フランスの軍隊には行進曲向きのものがないと気づくと、ナチスの行進曲を取り入れたところ、たちまち見事に行進しはじめた、というプチエピソードも笑えた…詳細をみるコメント0件をすべて表示