Inferno

  • Phaidon Press
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780714838151

感想・レビュー・書評

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  • 物理的にもまた内容的にも規格外の重量を誇る『戦場のフォトグラファー』ジェームズ・ナクトウェイの写真集です。ここまでの現実を前にシャッターを切れる彼のプロ意識には本当に敬意と凄みすら覚えます。

    僕には前々からずっと探しているDVDがあって、それが『戦場のフォトグラファー ジェームズ・ナクトウェイの世界』というこの写真集の著者の取材に同行した様子をフィルムに収めたドキュメンタリーでした。

    軽く経歴を書くと著者のジェームズ・ナクトウェイは有名な戦場カメラマンで、なんと、優れた戦場カメラマンに贈られる「ロバート・キャパ賞」を5度受賞しているとのことで、あの「不肖・宮嶋」こと宮嶋茂樹氏をして「コイツにはとてもかなわん」と言わしめた男です。イラク戦争の際にカメラマンの集合写真のような写真がありましたが、故・橋田伸介氏と宮嶋茂樹氏、そしてナクトウェイ氏が写っていたものがありました。

    この写真集は戦場カメラマンとしての彼が追った『戦争』『飢餓』そして『貧困』の様子を撮影したものの集大成とも言える本で、日本語では残念ながら出版はされていないんですが、物理的にもまた内容の重さにもまさに規格外とも呼ぶべきもので、写真の一枚一枚にノックアウトされながらページをめくっていたことを思い出します。

    個人的に印象にのこっているものは山と積み上げられたマチェーテ(山刀)やエイズ病棟で全身がやせこけ、もはや死を待つしかないベッドに横たわる患者。アフガニスタンの荒涼とした世界…。すべての写真が目を背けたくなるほどインパクトが強いものですが、現場で彼はこれを取るために被写体にレンズを向けている…。その「プロ意識」の高さというのか、凄みにも圧倒されてしまいました。

    この写真集はかなり値が張るのと内容がすさまじいので万人にはお勧めできませんが、一度でも興味をもたれた方は目を通していただければと、願ってやみません。

  • 日本ではまず目にすることの無いであろう光景。「国際協力」という言葉が広まる世の中。私たちは世界の現状を知ったつもりでいて、本当の裏側を知ってはいないのだ。その現実を晒された気がして、とても無力感を感じた。

  • 分厚さと大きさに届いた時は反笑いであったが、それらに比例した極太でとても思い無い様にその笑いは一瞬にして引きつりへと変わった。こんな凄いもんがあったのかといろんな意味で衝撃だった。nachtweyの事は知っていたし写真を見ていなかった訳ではないがこの写真集は初めて見た。噂に違わぬ名本であると認める。偉そうにはいえない。認めざる終えないというか、私が認めるとかそんな事はさておいて凄まじい。素晴らしいのは当然だが凄まじい。
     とりあえずさらっと見てみるかと思ってもその物量以上の内容に圧倒されて半分見れたカスら危うい所だ。だが、これだけは言える。これを見てなおこのジャンルでやっていこうと思える人はアホか相当な自信家でしかあり得ないだろう。私は到底太刀打ち出来ないと打ちのめされてしまったからだ。なぜなら、この中におさめられているのは奇跡とも思える程のリアルとリズムがあるからだ。それはサルガドのそれとは違い、実にエグイ物を、見せるという行為に執着したモノだと思えるからだ。
     まだしっかり読んでいないのにここまで書いてしまう程私は興奮している。こんな物を知らずにここまで来てしまっていたのかと思うと恥ずかしくてしょうがない。

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