The Monkey's Paw (Tale Blazers)
- Perfection Learning (1979年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (34ページ)
- / ISBN・EAN: 9780895986511
感想・レビュー・書評
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「猿の手」
ある日、ホワイト家に旧知の知人であるモリス曹長が訪れる。彼はインドで猿の手(小さな前脚)を手に入れた。その猿の手は3人の人間がそれぞれ3つの願いをかけられるようまじないをかけられたものであるらしい。曹長曰く3人の人間によって既に願いは叶えられているというが・・・。
著者W.W.ジェイコブズの名を後世に残した言われる恐怖小説「猿の手」の基盤になっているのは願い事です。小説の仕掛けとしての願い事の多くは「1度目、2度目が失敗で、3度目にうまくいく」というものになっていて、恐怖と幸せを生み出します。
物語の主人公はささやかな幸せの状態にあったホワイト一家。そんな彼らの家にインドに出向いていたモリス曹長が訪れ、彼は一家との楽しげな会話の中で「猿の手」の奇妙な逸話も披露します。その猿の手は3人の人間の願いを叶えるようにまじないをかけられたものであり、しかし既に3人の願い事は叶えられてしまったものでした。それでもホワイト氏はまだ願い事を叶えられるのではないかと思い、モリス曹長からその猿の手を貰い受けます(曹長もどうなっても知りませんよ、といいながらも意外とあっさり渡す)。そして、ホワイト氏は1つ目の願い事をするが・・・という展開です。
このホワイト氏のささやかな願い事の為に彼は別の幸せを失い、最後に平安から幸せだけを取り除いた状態が戻ってくる。
「決められた人生に手を出すと、良くないことが起こる」ということを示す為の猿の手へのまじないであるらしいですが、それにしてもこの猿の手の願い事には納得出来ない理不尽さがあります。
願い事を叶えてくれるとしても別の叶え方をしてくる猿の手。まさに恐怖しか残らない。詳細をみるコメント0件をすべて表示