- Amazon.co.jp ・洋書 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9781451673319
感想・レビュー・書評
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YL8.1
45,910語
たぶん、この本のタイトルを知ったのは、911の後・・
『華氏911』という映画が話題になったからだったと思います。
レイ・ブラッドベリという名前だけはもちろん何度も聞いたことが
あったけれど、なんだか重そうな話だし、読みにくそうだし・・・
だいいち、SFは苦手だし・・・
まさか彼の作品を読む日が来るなんて思ってもみませんでした。
本を読むことも所有することも禁じられている世界。
上から押し付けられた結果そうなった、というわけではなく、
あくまでも、大衆化、娯楽化が進み、辛いこと、面倒なこと、
難しいことなどを排除し、安易に手に入る快楽や幸せだけを
人々が望んだ結果がこの世界だ、というのが怖いです。
夜は電気もつけず、窓も開けず、Seashellsと呼ばれるラジオに似た機械に依存し、昼間は、wallと呼ばれる大型のTVのような機械が提供する、光と音の洪水に浸り・・・人と人とが会話することもなく、自然を感じることもなく、外界への興味も失い・・・
そして、ふと、自分自身を振り返ったとき・・・
この世界が、けして、他人事ではないように感じてしまうのがつらかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書物の所持を禁止された上、「壁(テレビのようなもの)」による刹那的な情報の洪水により思考力を奪われ、当局によって容易にコントロールされる人民。レジスタンスの長老はこれに抗う術として、世界に知識を痕跡として残し、記憶し伝達することを挙げる。
人間、余裕がなくなると本も読まなくなって、誰かが言ってることをそのまま無批判に受け入れて怒ったり安心したりする。ありきたりだけど、今の日本も同じだ。例えば中国のデモは確かに常軌を逸した所業だけど、こちらも自分の頭で考えず脊髄反射的に対処したのでは、単なる無思慮の応酬になってしまう。原発やTPPなんかも同じ。大事なときなので、僕はよく考えたいと思う。
英語はかなり難しい。