大峰奥駈のそれも順峯(熊野→吉野)を、あの宇江敏勝が書いている。それだけで読みたい気分満載。実際読んで、やっぱり良かった。
山に糧を求めた生活人としての山人だった宇江氏が、奥駈けを体験するに際して、どのようなことを考えるはるのか?やはり、そこには山を生活の場として生きてきた宇江さんならではの感じようがあって非常に面白かった。
修験道に関する考察、奥駈道への想いと敬意。真摯で時に透明、時に人間臭い宇江さんならではの表現。女人結界に関する考察や、断食入定、捨身入定の記録は彼の文章だからこそ最低限の抵抗感で読めてしまう。
関西で登山を趣味としている限り、一度は挑んでおきたかった大峰奥駈全走破。早く実現したい想いと同時に、挑むという気概を「山に教えてもらう」という気持ちに変えて、歴史や自然に想いを馳せて、心穏やかに歩きたいものだと感じ入った次第。