モンテ・クリスト伯(一) (ワイド版岩波文庫)

  • 岩波書店
4.35
  • (6)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 97
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000073639

作品紹介・あらすじ

二百年の長い間、世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳。無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、十四年間の忍耐と努力ののち脱出に成功、モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々と進めてゆく。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長年読みたいと思っていたモンテ・クリスト伯についに着手!前半は、文体になれなかったり、主人公や背景の説明多かったりしたので読み進めるのに若干忍耐力を要したが、後半は残りのページ数が少なくなることに名残惜しささえ感じるほど面白くなった。

    監獄や船乗り、貴族の生活に馴染みのない前提を差し置いても、1巻後半から先が気になって一気読みしてしまうような、奇想天外な展開だったと思う。
    素直に読んでいくともっと楽しめると思うので、主人公ダンテスのように変に勘ぐったりせずに真っ直ぐに読み進め、吸収していきたい。

    この本が書かれた時代、日本は江戸幕府。「異国線打ち払い令」が出されていたような時期。同時のフランスと次元すら違いそうなその頃の日本の文学に逆に興味が出てきた。

  • 読みやすく爽快なストーリーの中にある歴史に対する人々の描写や賢人の会話が面白い。誠実と人情のあるすっきりした、読んでいて嫌味のない話。

  • 商船の一等運転士であるエドモン・ダンテスは、若くして船長へ推挙を受け、また、最愛の恋人メルセデスとの婚約をかわし、その未来は希望に満ちあふれていた。しかし、彼を妬む友人の謀略や、検事ヴィルフォールの保身のための画策にあい、無実の罪で牢獄へおくられることになる。ダンテスは絶望の日々の後、ファリア司祭という囚人と知り合い、様々な知識・学問を授かる。そして、司祭との語り合いの中で、自分の罪は謀られたものだったことに気付かされる。

    <blockquote>人智のなかにかくれているふしぎな鉱脈を掘るためには、不幸というものが必要なのだ。火薬を爆発させるには圧力がいる。監獄生活というやつは、ほうぼうに散らばっていたわしの才能を一つの点に集めてくれた(ファリア司祭の言葉)</blockquote>

  • (2017.06.29読了)(2017.06.26借入)
    2013年2月にEテレの「100分で名著」で『モンテ・クリスト伯』が取り上げられました。そのときは、縮約版の「巌窟王」で読んだことにしたのですが、全訳版が図書館にいつの間にか入っていたので、読むことにしました。

    5章婚約披露まで。
    1815年2月24日、ファラオン号がマルセイユの港に帰ってきました。航海の途中で船長が亡くなったので、船の指揮は、一等運転士のエドモン・ダンテスが執りました。20歳の若者です。ファラオン号の会計係のダングラールがその辺の事情を船主のモレル氏に報告し、詳細をエドモン・ダンテスに聞くようにといいます。
    ダンテスから話を聞いたモレル氏は、次の航海からはダンテスに船長をやってもらうことを内示します。ダングラールさんは、それが気に入らないようです。
    ダンテスが家に帰ってみたら、父親の元気がありません。あまり食事を摂っていないようです。事情を聴くと200ルーブル置いていったうちの140ルーブルを隣人のカドルッスからエドモンの借金として返すように言われ、返してしまったので残り60ルーブルで過ごしてきたとのことです。
    エドモン・ダンテスは、恋人のメルセデスのもとに行くと、従兄のフェルナンが来ていました。フェルナンがメルセデスに求婚して、断られたところでした。メルセデスは、すでにエドモン・ダンテスと結婚するつもりでいたのです。
    エドモン・ダンテスとメルセデスは、結婚の手続きを進め、婚約披露宴を開きます。
    エドモンとメルセデスの結婚を阻止したいフェルナンは、ダングラールの誘いに乗って、エドモン・ダンテスは、ボナパルト派に加担していると告発します。
    エドモン・ダンテスは、結婚の手続きに行く直前に逮捕されてしまいます。
    ダングラールは、もくろみ通り、ファラオン号の仮船長の地位を手に入れます。

    エドモン・ダンテス ファラオン号一等運転士
    メルセデス エドモン・ダンテスの恋人
    モレル ファラオン号船主
    ダングラール ファラオン号会計係
    カドルッス ダンテスの隣人
    フェルナン メルセデスの従兄

    18章、宝まで
    ダンテスの婚約式と同じ日に婚約式を行っていた人物が、ヴィルフォールです。侯爵の娘との婚約式です。ヴィルフォールも婚約式の途中で呼び出されて逮捕されたダンテスの取り調べを行う検事代理です。
    ダンテスから話を聞くと、亡くなった船長に頼まれて、エルバ島に寄り、内容を知らない手紙をパリに届けるように依頼された、ということだったので、大した罪にはならないと判断し、ダンテスをいったん釈放しようとしたのですが、ダンテスが預かった手紙のあて先は、ヴィルフォールの父親のノワルティエであり、その内容は、ナポレオンが、エルバ島から抜け出して、パリへ向かうというものだったようです。
    ヴィルフォールは、王党派であり、ノワルティエは、ボナパルト派です。
    この手紙の内容が王党派にばれると父親が危なくなるし、ナポレオンのエルバ島脱出のニュースを早くルイ18世に知らせないと自分の地位が危うくなります。
    ヴィルフォールは、手紙を焼いてしまい、ダンテスには、手紙について一切喋らないように口止めをして、牢獄に送り、自分は、パリへと急ぎます。
    パリについたヴィルフォールは、上司(ブラカス)の力を借りて、ルイ18世にナポレオン脱出の情報を伝えます。点数稼ぎはしたけど、天下はナポレオンに移ります。
    天下はナポレオンに代わっても、ボナパルト派の父親の力で、地位を失うことはありません。任地が変わる程度です。百日天下で、ナポレオンはセント・ヘレナ島へと流されて再び王党派の時代に戻ります。
    エドモン・ダンテスは、正式な裁判のないままシャトー・ディフに幽閉されてしまいます。ダンテスは、何の罪で幽閉されているのかわかりません。
    生きる希望を失ったダンテスは、食を断って死ぬことを考えましたが、踏みとどまりました。地下に穴を掘って来たファリア司祭に出遭いいろんなことを教えてもらいます。ダンテスの話を聞き、だれがダンテスを罪に陥れたのか、のなぞ解きをしてくれました。数学、物理学、歴史と数か国語も教えてもらいました。モンテ・クリスト島にあるという(スパダ家の)宝のアリかも教えてもらいました。

    ヴィルフォール 検事代理
    ノワルティエ ヴィルフォールの父親、ボナパルト派
    サン・メラン侯爵
    ルネ サン・メラン侯爵の娘、ヴィルフォールの婚約者
    ファリア司祭 囚人

    【目次】
    一 マルセイユ -到着
    二 父と子
    三 カタロニャ村の人々
    四 陰謀
    五 婚約披露
    六 検事代理
    七 訊問
    八 シャトー・ディフ
    九 許婚式の夕
    一〇 テュイルリー宮殿の書斎
    一一 コルシカの鬼
    一二 父と子
    一三 百日政治
    一四 怒れる囚人と狂える囚人
    一五 三十四号と二十七号
    一六 イタリーの学者
    一七 司祭の室
    一八 宝
    解説  山内義雄

    ●検事代理のつぶやき(151頁)
    ノワルティエが、このヴィルフォールの父親だということがわかったが最後、おれ自身はおしまいなのだ。永久に!
    ●ダンテス(172頁)
    彼は、トスカナ生まれの男のようにイタリー語が話せ、古カスティーリア生まれのもののようにスペイン語が話せた。
    ●ダンテスの罪(284頁)
    狂激なるボナパルト党員、皇帝エルバ島よりの帰還のため大いに力をいたしたるもの。厳重なる監視の下に極秘に監禁のこと。
    ●哲学(370頁)
    「哲学は習えぬ。哲学とは、学問の用を知っている天才のみに許されるあらゆる学問の総和なのだ。哲学とは、輝きわたる雲だ。キリストが天に昇ったのも、つまりこの雲に足をかけたからのことなのだ。」

    ☆関連図書(既読)
    「デュマ『モンテ・クリスト伯』」佐藤賢一著、NHK出版、2013.02.01
    「巌窟王-モンテ=クリスト伯-」アレクサンドル=デュマ著・矢野徹訳、講談社青い鳥文庫、1989.05.10
    「三銃士」デュマ著・新庄嘉章訳、講談社、1987.10.20
    「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20
    (2017年7月6日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    二百年の長い間、世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳。無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、十四年間の忍耐と努力ののち脱出に成功、モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々と進めてゆく。

  • ★★★★☆

  • アニメ巌窟王の原作だということで読んだ。政治の話はすこし難しくて斜め読みしたが、ダンテスがファリア司祭に出会ってからの展開がとても面白くて引き込まれた。

  • 児童書の巌窟王がダイジェスト版とのことで実際の物語を読んでみた。
    これが140年以上前の作品とは思えないくらい面白い。
    2014/10

  • フィリア司祭に接触するまですこし長かったが、それ以後は貪るように読み終えてしまった。無人島に持っていく本に選ばれていただけある本というのも納得できた。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1802-70。フランスを代表する小説家・劇作家。生涯に長短合わせて250篇あまりの作品を書いたとされる。主な作品に『コルシカの兄弟』『モンテ・クリスト伯(巌窟王)』『三銃士』『ブラジュロンヌ子爵(鉄仮面)』『ダルタニャン物語』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』など。

「2016年 『ボルジア家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アレクサンドル・デュマの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×