- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000220965
感想・レビュー・書評
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自分が、国家権力、慣習、会社のルールなど、様々なことに無意識に囚われ、思考や行動を誘発されていることがよくわかった。
また、歴史や人の行動を説明する際に、後付けで物語を作ってしまうこともそのとおりだと改めて思った。ひとり一人の複雑な心理や思考、行動の集合体で社会が変わり続けている。意味付けは十分に注意しなければならないとも思った。
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面白かった!
特に最初の章の、いざというときのために日頃からちょっとしたルール違反(信号無視)をしておこうと行動する内容がお気に入り。その後にアナキストの先輩に諌められたところまで含めて面白い。 -
「世界に抗う土着の秩序の作り方」という訳書のサブタイトルが良い。市井の人たちがどうやってお上の管理と支配をすり抜けたり回避したりしてきたか、フラットで穏やかな目線で記述されている。
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アカデミー賞のさる受賞者のコメントにちなんで、submissive(受動的)な日本国籍者にこそぜひ読んでほしいと思った。自分も視野の狭いその、島国の住人の一人として、意を強くした。
例えば赤信号。明らかに自動車が通っていない車道を歩いて横切ろうとしているとき、自分はしばしば、赤信号を〇〇することにしている。一方、周りの人たちのほぼ9割は律儀にルールを守っている。
かたや、もしも横断歩道に子供の姿が見えた時、信号を〇〇することをためらい、ルールを守ることにしている。なぜなら、子供にそれを当たり前のことと思い込んで欲しくないから。身に危険が及ぶ、かもしれないから。
この、自分の中の矛盾って何なのだろう、偽善では片付かない何かがあると思っていたが、本書を読んで氷解。この横断歩道問題って、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」にも直結する。
あるイデオロギー(あまり政治的なことは書きたくないので「忖度」していただきたい)に対する批判がそれに対するカウンターであることに、自分は何となくもどかしさを感じ続けてきた。あからさまで理路整然とした「反対」は、相手が愚かであればあるほど、暖簾に腕押しであると。かえって権力に利用されると。
本書にある、ミクロレベルでのアナキズムに慣れること。自分なりの原理を貫くこと。それこそが、革命ではなくある革新の糸口を準備する。
最近では、ANAホテルの英断しかり。