- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000225472
作品紹介・あらすじ
19世紀ドイツにおいては、「教養」が他の国々とは異なって大きな位置を占めていた。それはどのようにして形成され、維持されたのか。本書は、バッハ復興運動やアマチュア音楽活動の展開、キャノン(正典)の誕生、音楽作法の完成などを跡付けつつ、「音楽芸術」の成立過程について究明。音楽現象の分析によって教養理念の内在的な論理を解明するとともに、音楽が社会的に担った意味を浮き上がらせる。音楽学の素養をもつ著者にして初めて可能となった、ドイツ社会の歴史文化をめぐる卓見的な考察であり、従来、歴史学と音楽学とでまったく別個に議論されてきたテーマを総合する、歴史社会学=音楽社会学の達成である。
感想・レビュー・書評
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本屋さんで平積みになっていて偶然見つけたのですが、大変素晴らしい本に出会いました。音楽だけじゃなくて色々な方面に波及して繋がっていきそうな論の展開にひきつけられました。国家の成り立ちとか?教養とか?市民とか?とにかく、この本をきっかけに色々勉強を広げてみたくなる作品でした。文章も好きです。
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音楽大学のことについて調べていた際、opacで見付けた本。良い書籍(博士論文)に出会えた。19世紀ドイツにおける社会、市民、教養、音楽、そして公務員や大学に焦点を当てている。アマチュア音楽家の歴史を分析した点も興味深かった。一読後、この本は手元に末永く置いておくべきと思い、アマゾンに注文した。本書のような分析枠組みで日本を捉えると、どのように描けるのか、と空想してしまう。時期は違えども、ドイツとの共通点は少なくないはず。
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ドイツの教養市民層に焦点をあてた1冊。
そもそも「市民」という定義が曖昧なものだから細かいところは置いておいて、市民性の証明のために「教養」というキーワードを投入。
教養とはどのようなものであったか考え、併せて市民層の置かれた立場を考えると、音楽活動や作曲家の崇拝、コンサートマナーの成立から、人々の思惑が浮かび上がってきました。
特に、著者の言うところの「本質化」の理論や、市民性の証明のために物事がひっくり返る展開は明快で、とてもおもしろく感じました。
音楽社会学というと、日本では1980年代末~90年代始めに掛けてかなり大きな流れや常識ができてしまって似たり寄ったり感がありますが、この本はさらに一歩前に進んでいると思います。 -
烏兎の庭 第二部 書評 4.29.06
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/kyoyo.html#a1