テレビは戦争をどう描いてきたか 映像と記憶のアーカイブス

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000240154

作品紹介・あらすじ

二〇世紀は戦争と核の時代であると同時に映像の世紀でもあった。映像は事実を発掘し隠蔽すると同時に、記憶を喚起し定着させ、場合によっては偏見を固定化させる。その限界と可能性のなかで、テレビ・ドキュメンタリーは、近代以降の日本の戦争をどう描き、あるいは描いてこなかったのか。迫りくる過去の声は、いかにすればモノローグからダイアローグへ、さらにポリローグへと開かれていくのか?数々のNHKドキュメンタリー番組制作に携わってきた現役のプロデューサーが、半世紀の番組を総覧しつつまとめる体験的ドキュメンタリー論。戦争関連テレビ・ドキュメンタリー番組年表を付す。

感想・レビュー・書評

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  • 2005年刊。著者は、NスペのEXプロデューサー。戦後のTVドキュメンタリーの代表的番組の分析を通し、そこで描こうとしたこと、そして意識的・無意識的を問わず、描かなかったことを暴き、アジア・太平洋戦争にいかに向き合ってきたかを問いかけるもの。特に、余り日の当らないテーマ、例えば、朝鮮人軍属への補償、韓国残留日本人妻の来し方、戦中での日本人同士の殺し合い・人肉食、原爆とその調査・資料の米軍没収、サハリン残留韓国人、満州残留日本人妻、フィリピンゲリラ等を描き、興味深い内容。もう少し読まれてもよい書。
    なお、安倍晋三氏が、故中川一郎氏とともに、NHK幹部と会談し(当人は圧力せずとの主張)、しかる後、既に放送内容が定まっていたある番組が時間が短縮され放送されたという事実を、本書では開陳する。著者は削除・改変は自主的判断というものの、他方、異例の事態であるとも認めている。政治家として、報道機関に対するかかる行動が適当かどうかは、色々考える必要がある。

  • NHKのドキュメントについての、製作者側のNHKからの分析である。残念なことに、地上波ではほとんど見ることができない。YouTubeであれば、メディアリテラシーの生きた教材になる。

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著者プロフィール

元NHKエグゼクティブ・プロデューサー。

「2008年 『憲法9条 新鮮感覚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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