- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000242899
作品紹介・あらすじ
戦後三五年を経て密かに始められた「海軍反省会」。部外者に公開されることのなかった会の記録が、録音テープに残されていた。その長さ、四〇〇時間-。そこには、海軍トップエリートたちの実像や、戦争突入への実際の経緯などが生々しく語られていた。勝算もないまま、なぜ日本は、戦争へ突き進んでいったのか?反省会の肉声の証言がもたらす衝撃をめぐって繰り広げられた白熱の議論。NHK放送の鼎談番組を収録。
感想・レビュー・書評
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日本海軍という組織が持っていた体質は、そっくりそのまま現在の政権与党、ならびに行政組織に受け継がれている。つまり、日本は太平洋戦争の敗戦という歴史的事実から、ほとんど何も学んでいないということなのである。
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2009年8月にNHKスペシャル「日本海軍 400時間の証言」を全3回で放送したものを踏まえた澤地久枝、半藤一利、戸髙一成による鼎談を書籍化したもの。
読んでいて、今の日本の政治や社会を見ていて「今戦争が起こったらこうなるだろうなぁ…」と予想していた事がそのままここで語られていた。
結局、本の中で原因は語られていたが、じゃあ日本人の中で
この原因を踏まえて新たにそうでない方向に持って行ける人がどれだけいるんだろうか?
外部から問題点を突くことは誰でもできて、その解決策を論じることはあまりされてこない。文句言うだけ、理想論を語るだけで終わっちゃうんだよね…
結局この中で語られる事も方向性が一方向というか、じゃあその海軍の中で一方向に統一されちゃったことが原因と言いつつ、この本の中でも同じような考えの人が集まって1人の人が意見言ってウンウンうなづいてる…ほかの意見があったとしても出てこない…違う意見が出たとして深掘りされないのって、どう違うんだろう?と思う。
原因というのが結局海軍の上の方の事情や決定のみで終わっていて、
じゃあその時1人1人の国民はどうすべきだったのか?という事には触れてない。
これって、何かことが起こって「政治が悪い」と言ってる現在と一体何が違うのか。
今戦争が起こったとしてやっぱり結局関係者が決めた事に
文句だけ言って流されていくしかないんじゃないか?
これはちょっと本の感想とはズレるかもしれないけれど
子供たちに自分で考える訓練を、意見を言える能力をとか
言うけれど、自分で考えて反対意見をきっちり言う大人も、
建設的な議論ができる大人も日本で見た事ない。
(人の意見も聞かず、遮って自分の意見ばかりいう人はいるけど)
そう言う模倣すべきモデルがいないのに、やれと言われても
できるわけないんじゃないかな… -
大学の図書館でリサイクルコーナーにあったのを適当に拾ってきたシリーズ
タイトル的に海軍反省会のレビューというか内容なのかと思ったら海軍反省会を聞いた後の識者の座談会の書籍化とかいう謎の二次文献だったでござるwww
冒頭では海軍反省会の有意義性みたいなことが書かれていたがその後の識者の議論では割とボロクソに言われていたのが印象的。
結局無責任な連中がノリで戦争始めちゃって、そのツケを若者と無関係者が背負わされるっているそんでもって無責任な連中はどこまでも無責任っていうなんか目も当てられない救いようのない話だった。 -
一気読みした本@図書館。この海軍反省会をもとにした鼎談本。
読了後、また同じ過った方向に行かないかが気になってしまった。 -
戦後密かに行われていた「海軍反省会」
について、NHKの特別番組が放送された。この「反省会」の教訓について議論する鼎談を収録。
他人事。個人が責任を追及されることがない。排除の論理。縦割り。視野が狭くて近視眼のため、国際情勢を読み誤る。
他にも他にも…。
現代にもこの弊害は色濃く残っていると思う。原発問題もそう。
日本の色んな問題を考えるとき、この教訓を思い出さなければ。 -
思っていたのと違って、反省会での発言ややりとりはそれほど紹介されていませんでした。
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海軍軍令部にいた人々の戦後35年経ってからの反省会テープをもとにした、半藤一利、澤地久枝、戸高一成の対談。日本のエリートの傲慢、視野狭窄、頑迷さがよくわかる。あの戦争はなんだったのかと言う問いに対する答えを個人個人が持たねばと思う。軍令部の醜悪さは理解できるが、日本のあらゆる組織に一般的なものでもあろうと思う。
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戦後三五年を経て密かに始められた「海軍反省会」。部外者に公開されることのなかった会の記録が、録音テープに残されていた。その長さ、四〇〇時間―。これについてNHK三人の識者による鼎談を書籍化した物です。
これはもともとNHK放送の鼎談番組を収録し、書籍化されたものだということで、以前ここでも書いた『日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦 』のいわば解説版として三人の識者による対談となっており、僕はこの本で、400時間にも上る『反省会』のあらましが理解できたような気がいたしました。
やっぱり、彼らに『死ね』と命令され文字通り『草むす屍 水漬く屍』と化した兵士たち。彼らを指揮する側に立った人間が『なぜわれわれは負けたのか?』ということは重要な記録であり、内輪だけで行われているだけあって、ざっくばらんに語られているとはいえ、やはり責任の所在は最後までうやむやにされ、彼らの失敗こそが、日本の組織が抱える『病理』のルーツであり、また、当時でも屈指のエリートたちが集まっている組織でなぜ、間違ってしまうのか?という命題はそのまま現代の永田町・霞ヶ関にも相通じるものがあり、本当に読み応えがあるものでございました。
鼎談をされている三人もまた、それぞれの観点があり、刺激的なものでございました。特に後半で語られている半藤・久枝両氏の語る戦争体験は銃後の話しながらも本当に壮絶で、関東大空襲のさなかの話は本当に地獄だなと、つくづくそう思いました。本書から、当時の海軍批判、軍人批判、それを基にして現代の官僚批判をすることはとても簡単です。しかし、ただ批判するだけではなく、彼らがなぜ失敗したのか?ということを突き詰めて調べていけば、今後おそらくは繰り返されるであろう過ちのうちの何割かは回避できるのではなかろうかと。自身、甘すぎるだろうなという自戒を込めつつ、そうであってほしいということを切に願って、今後も彼らおよび陸軍の失敗に関する文献を追っていこうと思っております。 -
「日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦」という本を読んで非常に衝撃を受けたことがある。
本書は、その題材を著名な作家・歴史家である3人が鼎談した本ということで、手にとってみた。
すでに当時の日本海軍に様々な問題が多々あったことはわかっていたが、やはり3人とも批判的な意見しか出てこない。
3人とも当時の時代状況も歴史経過にも詳しい「泰斗」であると思うが、その彼らの話を読んでも「ため息」しか出ないような思いをもった。「なんと、当時のエリートたちの愚かなことか!」。
本書では「なぜ過ったのか」について多々語られる。しかし、この内容がなぜ戦後の日本社会で語られず、極秘にされたのか。
海軍・政府関係者は、敗戦直後に大量の公文書を焼却し、自らの歴史を語らず隠蔽し、さらに戦後に「反省会」を開いたものの、その内容を「極秘」とした。
この軍人たちは、歴史を私物化していたとしか言い様がないのではないだろうか。
唯一、評価できることは、「反省会400時間」の録音テープを残したことだけとは、あまりにも情けない。
本書でも取り上げてはいるが、現在でも日本社会につきまとう組織の問題があるのだろうとも思えた。
本書は、当時の歴史を知る上で非常に貴重な内容であるとは思うが、読後感はあまりよくない。当時の日本海軍のあり方に「腹が立つ」からである。
「長期展望の欠如」「排除の論理」「国民の熱狂」「尊大さ」「隠蔽体質」等々、それは「現在の我が身」を見るような思いをも持つ。当時の「日本海軍の愚かさ」は、現在まで続く「日本社会の愚かさ」かもしれない。
「海軍反省会」については、録音テープを起こした「証言録」が現在4巻出ているが、読むべきかどうか。読んでも腹が立つだけかもしれないと思い、ちょっと迷うところである。