評伝モハメド・アリ――アメリカで最も憎まれたチャンピオン

  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (622ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000245487

作品紹介・あらすじ

「俺は世界の度肝を抜いた!」ムスリム宣言、改名、徴兵拒否……不遜な態度で最も嫌われた世界ヘビー級チャンピオンは、いかにして史上最も愛される「反逆のアイコン」になったのか? 関係者二〇〇人超への取材に加え、新資料からパンチによる脳へのダメージも検証。数多の書物で描かれてきたザ・グレイテスト、その知られざる悲劇を描きだした決定版評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 600ページ近いけど読ませる。モハメドアリについて、黒人差別に抗議して蝶のように舞い・・・とか、金メダルを川に投げて徴兵を拒否した、とか、ありきたりなエピソードしか知らなかったけど、すっかりその人間性にはまってしまった。(多分に事実でないこともアリの伝説になってしまっていることも含めて)この本の端々での著者の表現に感じられるように、アリ自身にそれほど深い考えはなかったのかもしれない。時代や周りの人間たちに流されてその役割を演じていたところもあるのだと思う。ボクシングの才能と人を惹きつける人間性がそんな流れを引き寄せたのだろう。ではアリ自身はただの愚かな操り人形だったのかというとそんなことはないのだろうと思う。優しさ、人の良さ、人を楽しませたい、自分に注目してもらいたいという欲求、消費するために自分を激しく消費する生活。空虚と言えば空虚、アメリカ的と言えばアメリカ的な人間性、それが若く美しい黒人男性に奇跡的にあの時代に舞い降りた。そのこと自体はアリの信じたイスラムのアラーの思し召しと言えるかもしれない。確かにその時代の時代精神として多くの人がその姿に心動かされ、世界が彼の存在によって変化したことは間違いない。

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