「私たちの世界」がキリスト教になったとき――コンスタンティヌスという男
- 岩波書店 (2010年9月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000257749
作品紹介・あらすじ
ヨーロッパの根にあるのはキリスト教ではない。歴史の曲がり角を、全く新しい光の下に書き直す。迷い苦悩しつつ生きたひとりの男の個性が、歴史をつくった。もっとも「大きな物語」を解体する、歴史像への挑戦。
感想・レビュー・書評
-
ポール・ヴェーヌは古代ローマ史を研究する碩学(せきがく)とのこと。はっきりと断っておくが面白くない本である。にもかかわらず、私が長らく抱いていた疑問が解けた。それは「いつからキリスト教が西洋のスタンダードになったのか?」というものだ。
http://sessendo.blogspot.com/2011/06/blog-post_9806.html詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
対訳が、非常に問題あるような気がするなあ。ローマの宗教を「異教」と書いてしまうのは違和感あるし(なんに対しての「異」なんだよっていう)、カエサルを「カエサル」とだけ書いてしまうのも不親切な気がするなあ。というかさ、なにより肝心のこと、すなわち〈「私たちの世界」がいかにキリスト教になったか〉がちーともわからん。ってアレか、多神教=無宗教に限りなく近いわけで=白紙のキャンバスに対して=一神教というインキをたらせば=じょじょにその色に染まっていったというカンジかな。
【興味深かったところ】コンスタンティヌスがキリスト教を国教にさだめた理由として→現代の政府・大臣にとっては、住民の大半に好ましいとされている古めかしいアカデミズムよりも前衛芸術を支持するほうがずっと格好よく、ふさわしいことになる。
キリスト教は宗教であり、社会・政治綱領ではない。キリスト教は社会にたいして変えるべきなにものも持っておらず、そのことでキリスト教に不満を抱いてはならないのは、あの世の魂の救済について配慮しないとしてマルクス主義者を非難してはならないのと同じことだ。