ヨーロッパ精神史入門――カロリング・ルネサンスの残光 (岩波人文書セレクション)
- 岩波書店 (2012年10月24日発売)
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感想 : 3件
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- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000285537
感想・レビュー・書評
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普遍論争のことが気になっていた。というか、唯名論が非常に真っ当なことを言っていて実在論の方が時代遅れな変なことを主張していたのではないか、という程度の浅薄な掴み方しかしていなかったのに、なんだか気になっていたのである。
唯名論こそが、近代以降の人権思想と実証的な自然科学との基礎付けとなったということは否定し難いが、しかし唯名論の見通しの良さが何か大事なものを切り捨ててるのではないか、という引っかかりは確かにあった。
個人の尊重という点で唯名論の貢献は大きいのだが、一方で抽象化され均質化された個人の集合が社会を形成しているという原子論的な処理方法の居心地の悪さとでも言おうか。
実は、唯名論と実在論とが何を争っていたのかは、上述のような浅薄な所にはなくて、「個」をどう捉えるかをめぐってのずっと深いところに問題があったようだ。
非常に得るところの多い、通俗的な言い方で目から鱗の本であった。
本書を読んだ上で言い切るが、僕自身はノミナリストじゃないな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中世哲学の流れを一望することができる。フランス現代哲学のところはわりと適当。
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