つながる (人生をひもとく 日本の古典 第三巻)

  • 岩波書店
4.00
  • (1)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 19
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000286435

作品紹介・あらすじ

この世のなかで、他人とかかわりなく生きて行くことは、できません。人とのつながりのなかにこそ自分自身が存在しています。娘の恋人を苦々しくも祝福するスサノオ、気心の知れた友の早世をなげく紫式部、どこまでも母親思いの頼山陽…。親子の絆、夫婦の機微、友情と信頼など、人と人とのつながり、さまざまな結びつきを探ります。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB13242692

  •  男女、夫婦、師弟、親子など、人と人とのつながりをテーマにした古典の一文を取り上げて解説していく。恋愛ものばかりでなく、非常に多種多様な、古典の、つながりの姿が取り上げられている。

     今昔物語集の、女盗賊のエピソードとが面白い。
     ある男が夕暮れ時に歩いていると、ふと目に入った家に美しい女がいて、こっちをみて、ただほほえんでいる。誘い込まれて、気が付けば一緒に暮らすことになった。
     二十日ほどたったところで、女は男に問う。「私のいうことは何でも聞いて、否とは決しておっしゃらないでください」。男は「生きるも死ぬもお前次第だ」と答える。そこから、女は突如男装して、鞭を手に持って、SMプレイをはじめるのだ。男をぶちまくる。それに何度も耐えきった男は、今度は女の指示に従い盗みなどを行う。それから二年ほどたったある日、男が用事をすませて帰ると、忽然と女も家も消えていた。ある時みかけた盗賊団のボスが、女のように美しい男だったので、彼女の正体は首領だったのか、それともやっぱり狐だったのかどっちだろうということで終わる。
     この本は本当にマニアックなチョイスばかりで、たぶん全然売れないのだと思うけれども、丁寧にわかりやすく解説しているので、図書館で全シリーズ通読することをおすすめする。読むのが早い人であれば、4時間で一冊読み終えられる。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1933(昭和8)年、東京生れ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程満期退学。文学博士(東京大学)。東京大学教授、白百合女子大学教授を経て、東京大学名誉教授。日本学士院会員。専門は、中世文学、和歌文学、日本文学史。主な著書、『新古今歌人の研究』(東京大学出版会、1973)、『新古今和歌集全注釈 全六巻』(角川学芸出版、2011~2012)、『久保田淳著作選集 全三巻』(岩波書店、2004)、『花のもの言う』(新潮選書、1984。岩波現代文庫、2012)、『隅田川の文学』(岩波新書、1996)、『富士山の文学』(文春新書、2004。角川ソフィア文庫、2013)、『ことば、ことば、ことば』(翰林書房、2006)、『藤原俊成 中世和歌の先導者』(吉川弘文館、2020)など。
1997年より、『和歌文学大系 全八十巻』(明治書院)の監修者として、現在まで五十四巻を刊行。残る二十六巻も進行中。

「2020年 『「うたのことば」に耳をすます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

久保田淳の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×