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- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000291989
作品紹介・あらすじ
近代哲学はカントの認識論で素朴な経験主義を脱し、自然科学から自立したという理解は本当だろうか?哲学史的事情を踏まえるなら、カントの哲学は自然科学を形而上学によって基礎づけたのではなく、自然科学を基盤としてそれに形而上学の装いを与えたのではなかったか。自然主義と全体論の視点から近世哲学史を再検討する。
感想・レビュー・書評
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本書は、デカルトから始まった「観念」の近代的用法が持つ、自然主義的論理が、カントにおいてどのような歪みを生じることとなったかに焦点を当て、カントを取り巻く歴史的諸事情との関係において、その実際を示そうとするものである。
その結果明らかになるのは、反自然主義的基礎づけ主義の立場が結局はそれ自身自然主義的枠組みの中で構築されるという、逆説的論理である。別の言い方をすれば、西洋近代の観念説のカント的変容は、われわれがその内で生きている「全体論」的論理、「解釈学的循環」構造に対し、その論理や構造を踏み台として用いながらその土台を掘り崩そうとする、逆説的な試みであったということである。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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