犬のココロをよむ――伴侶動物学からわかること (岩波科学ライブラリー)

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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000295994

作品紹介・あらすじ

あなたの愛犬への接し方は間違っていませんか。犬は言葉を交わせなくても、あなたの意図を全力で知ろうとしています。驚くべき犬のコミュニケーション能力の研究は始まったばかりですが、人間の認知研究にも大きな影響を与えています。簡単な観察実験とともに、その最先端の成果をわかりやすく紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 『犬はあなたをこう見ている』とかなりかぶる内容だった。
    でも、こちらの方がとっつきやすい。

  • 犬は3万年前から飼われている。

  • 犬を飼っている方、必読です!
    あの犬の、あれにはこれには、こんなに意味があったのかと、「へえ」、「ほう」が止まらないです。

    犬は、クンクン、キャンキャンの声の使い分け、表情の変化のみならず、尻尾を右に揺らすか、左に揺らすかで、好き嫌いを表現しているようです。

    飼い主の表情や、視線、仕草を観察して空気を読んだり、行動をまねしたり。
    伝えたいことがある時に、じっと見つめて、
    「なに?」
    ドアを見てから、もう一度飼い主を見つめて、
    「なに?開けてほしいの?」
    という行動(交互凝視)は、犬特有のものであるようです。なんと!可愛い!

    思い込みだと思っていた数々の犬の行動が、生物科学的に立証され、犬を飼っている方なら、「ほら!やっぱりね!」と勇気が出ます。

    合間に出てくる、ビクター社のロゴの犬のようなエピソードのコラムも、犬はいいなと思わせてくれます。
    コラム①の話で、実家の愛犬を思い出しました。

    図書館スタッフ(学園前):れお

    ----------
    帝塚山大学図書館OPAC
    http://opac.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=2110024804

  • 犬の持っている能力についての研究や実験結果。内容的にはすでに分かっていることが多かったけれど、一番の収穫は、黒目と白目を持っている動物は、人間と犬だけってこと。目だけを使って合図を送れる。アイコンタクトができる。人間の表情や心を汲み取ることができる伴侶のような犬は、本当に天使のような存在。

  • イヌの能力についてわかりやすく書いてあります。
    共感する能力、恩を記憶し続ける能力など、興味深い内容でした。

  • 犬って、ちゃんと研究対象になるのか。

  • 内容情報
    [日販MARCより]
    あなたの愛犬への接し方は間違っていないか。犬は言葉を交わせなくても、あなたの意図を全力で知ろうとしている。科学が明らかにした犬の共感力。誰でもできる簡単な観察実験とともに、その最先端の成果を紹介する。
    [BOOKデータベースより]
    あなたの愛犬への接し方は間違っていませんか。犬は言葉を交わせなくても、あなたの意図を全力で知ろうとしています。驚くべき犬のコミュニケーション能力の研究は始まったばかりですが、人間の認知研究にも大きな影響を与えています。簡単な観察実験とともに、その最先端の成果をわかりやすく紹介。
    1 犬との生活を始める(古代人も犬を飼っていた;犬との生活をスタートさせるまえに ほか)
    2 犬の感覚を通した世界(驚異の犬の嗅覚;犬はなんの匂いを嗅ぎ分けているのか ほか)
    3 犬の驚くべきコミュニケーション能力(クンクンとキャンキャンの区別;音の大きさと体の大きさ ほか)
    4 犬の「ココロ」の起源を探る(犬はいつから犬だったのか;オオカミに近い柴犬 ほか)
    5 犬と人を絆ぐ(「収斂進化仮説」;人も家畜化した ほか)

  • 参考文献くらいつけてほしいなぁ。
    犬好きには何となくすでにわかっていることを科学的に証明したものを紹介しているのだから、特にね。
    そこだけが不満でした。

  • 犬を使った認知実験がのせられているのが楽しい。
    犬を飼いたくなる本だが、同時に社会的な動物である犬を人間が飼う難しさも感じさせる。
    犬とココロを通わせ合えたらとても楽しいだろう。そのような体験は犬と人間が共に進化したからこそえられるものなのだろう。

  • 犬について、動物行動学の視点から、認知科学比較行動学的な考察も交えながら、その特性、能力、人間とのかかわりをまとめた本書。

    130数ページの中に、犬が見せる様々な行動の意味するところがポイントを絞って簡潔に記述されている。
    ちょっとしたエピソードやトリビアをコラムとしていくつか差し挟み、犬を飼っている人ならきっとやってみたくなる、自宅でできる犬の能力を試す簡単な実験の紹介がされているところも読者をひきつける。

    前半の犬の能力についての解説は、いままでに読んだ最近の犬研究でいわれていることとほぼ同じ内容で、非常にコンパクトにまとめられているためにやや物足りなくもあるが、後半、犬の起源から進化について、認知科学的考察に入ると俄然面白くなった。

    いくつか印象に残ったことから。

    ・犬と人間の関係は、今までいわれていたような群れの順位の上下関係というより、一つの家族の中での親子のような関係に近い。実はオオカミの群れも家族単位。

    ・犬は人の視線に敏感。人のマテの指示でも、おやつを前に出されると、人が目を開けているときは従うが、目を閉じると指示を破っておやつを食べてしまうことがわかっており、人が目をそらしていると視界に入ってきて遊びの催促をするなど、犬とのコミュニケーションには視線を使ったやりとりが有効。

    ・オオカミのネオテニーとしての犬という考え方はもちろん、人間もある意味ネオテニー的進化をしているという理論は知ってはいた。しかしそれがなぜ「進化」と結びつくのか、今ひとつ納得できていなかったのだが、そのあたりが本書では、とても理解しやすく説明されていた。
    ネオテニーにより成熟しても「遊び」が残る、それによって快情動が生まれ、「快」を得たことによって他者との絆や愛着が深まり、愛着が深まることによって協同行動が強化され繁栄に結びつく。
    人間が、社会的動物の犬と共生するようになり、協同行動をしやすい攻撃性の低さや穏やかさが強化され、遊びが生まれ、愛着がさらに強化され、ともに絆を深めあう「収斂進化」を遂げた、というのである。
    以上から、ネアンデルタール人が滅んだのも、犬との共生がうまくできなかった(化石などから、犬との共生関係がみられない)から、という仮説が成り立つかも、とさえ言っている。

    ・「収斂進化」とは、異なる進化を遂げた生物種が、同じような生活環境下で淘汰をうけることで、その生物種の遺伝的背景にかかわらず、身体的行動的特徴が似てくること。
    確かに、生物学的には別種であっても、同じような環境で暮らすことで見かけが似てくる生き物はよく見かける。そのほうがそこで生きるのに有利に働いて淘汰されるということなのだろう。

    ・心理学で共同注視と呼ばれる、他者の視線や指さしを追ってその他者が示すものに注意を向ける能力が犬にはある。これはチンパンジーにはあまりない能力で、この社会性が人間の伴侶となりえた犬のもっとも重要な能力であるといわれている。
    この共同注視は人間の社会的発達にも重要な役割をもっていることが知られており(自閉症児などは共同注視ができない)、生後間もない赤ちゃんでさえ、母親の視線を追うことが能力として具わっている。人や犬の目に、ほかの動物にはあまり見られない白目が大きな割合でとられているのもこのためである。

    ・この手の犬の行動科学を謳った本には大抵登場するロシアのギンギツネの飼いならし実験。今回も取り上げられていた。そうとう画期的な実験だということなのだろうな。

    ・前半で、犬の行動特性を解析するサイトが紹介されていた。我が家の駄犬も解析!とやってみたところ…「標準的」。
    喜ぶべきなのかもしれないけど…ううん、つまらんなあ…。

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著者プロフィール

1970年鹿児島県に生まれる。1994年東京大学農学部獣医学科卒業。三共(株)(現・第一三共)神経科学研究所研究員、東京大学大学院農学生命科学研究科助手を経て、現在は麻布大学獣医学部動物応用科学科教授、博士(獣医学)。専門は動物行動学。主著に『犬のココロをよむ――伴侶動物学からわかること』(共著、2012年、岩波書店)、『日本の犬――人とともに生きる』(共著、2015年、東京大学出版会)、『愛と分子――惹かれあう二人のケミストリー』(2018年、東京化学同人)などがある。

「2023年 『ヒト、イヌと語る コーディーとKの物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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