- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000614955
作品紹介・あらすじ
仕事のあと、ベンチで眠る生活をおくる人。夫に先立たれ、年金だけではやりくりできない人。私たちの「セーフティネット」は、本当に機能しているのだろうか? 生活保護をめぐる俗論、誤解を退け、先のみえない時代の「最低生活保障」のありかたを大胆に構想する。困ったときには、誰もが「使える」「頼れる」制度に——。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:369.2A/I97s//K
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生活保護は要保護者を十分に捕捉できておらず貧困の削減をできていないという現状認識から,生活保護の解体を提案する内容。ニード別に,生活保護の8つの扶助を解体し,それぞれの扶助を社会保障制度に「溶け込ませる」提案がなされている。国民皆保険・皆年金体制に低所得者対策(保険料免除等)があることを逆手にとった考え方だという。生活保護を解体して社会保障制度に位置付け直しても,多様な形態をとる貧困に完全に対応できないから,一般扶助原理に立つ扶助も提案の中に含まれている。
生活保護制度,制度の変遷など,自分の理解がまだまだ十分ではないことを痛感した。
「ニードに応じた給付をバラバラに用意し,これを利用者が自覚的にパッケージする,あるいは支援者がそれを支援するということが大事だと思います。利用者は,必要を自覚的に組み立てて,その保障を請求していく権利があるのです。」(250-251ページ)とのことなので,生活困窮者自立支援制度などの相談支援との関係がどうなるのかに関心を持った。
他方で,「貧困の解決にとって中心的な手段は所得保障です。日々の暮らしのお金が足りないのに,サポートや自立支援ばかりを強調するのはもういい加減にしてもらいたい。」(295ページ)との指摘もあり,この指摘を踏まえつつ,さらに貧困や貧困対策を学んでいきたいと思った。 -
貧困理論の第一人者による最新刊.参考文献の量と質がすごい.