- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000615136
作品紹介・あらすじ
死刑制度の存廃をめぐっては激しい意見対立が続いている。理論刑法学の卓越した研究者である著者が、刑罰論の観点から死刑制度を考える。死刑存置派、廃止派、あるいは日本の刑法学の通説がともに議論の前提に置く刑罰論=応報刑論の意義を問い直し、その問題点を深く洞察することで、膠着した死刑論議に一石を投じる意欲的な書。
感想・レビュー・書評
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某公立大学の2023年度現代国語の試験問題に出題。法律は専門ではないが、興味のある分野。法廷ものの映画やドラマが大好きというミーハーな理由もありで・・。私がこの本に興味をもったのは「死刑制度の是非」は、これまでにもずーっと論じられていることなのに、それが最新刊2022年に発刊されているということ(いまさら、何を論じるのか、どういう新しい視点があるのか)その興味から購入。死刑存置派か廃止派か。刑法学の通説の前提となる「刑罰」そのものの考えを根底から問い直しているというところがこの本の趣旨のようで、死刑論議に新たな一石を投じたという点で刺激的な書として注目されているようだ。(なるほど~。私などは考えたこともなかったので、かなり勉強になった) いずれにしても、法学を目指すわけではない受験生に、これだけの文章を読ませて答えさせようというのだから、さすが難関大学の入試問題だなというのが率直な感想。
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図書館で借りて読みましたが、書店で購入して再読させていただきます。
そもそもの刑法の存在意義から、幅広い視野で、丁寧に説き起こしていただき、とても納得がいきました。
こんな本を書ける先生を心から尊敬いたします。ありがとうございました。 -
【書誌情報】
『死刑制度と刑罰理論――死刑はなぜ問題なのか』
著者:井田 良
定価:2,420円
刊行日:2022/01/27
ISBN:9784000615136
版型:四六 上製 カバー
頁数:240
死刑制度の存廃をめぐっては激しい意見対立が続いている。理論刑法学の卓越した研究者である著者が、刑罰論の観点から死刑制度を考える。死刑存置派、廃止派、あるいは日本の刑法学の通説がともに議論の前提に置く刑罰論=応報刑論の意義を問い直し、その問題点を深く洞察することで、膠着した死刑論議に一石を投じる意欲的な書。
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b597629.html〉
【目次】
目次
はじめに
第一章 日本の死刑制度とその運用
一 現行法における死刑
二 刑事裁判と死刑
三 死刑と量刑
四 死刑とその執行
第二章 死刑制度の刑罰理論的基礎
一 死刑制度を正当化する論理
二 刑罰の本質としての責任非難
三 刑罰制度のあり方を規定する二つのベクトル
四 本書が目ざそうとするもの
第三章 重罰化傾向はなぜ生じたか
一 平成時代における刑法思想の変化
二 立法裁判実務行刑実務に見る重罰化
三 永山事件と光市母子殺害事件
四 重罰化の要因と背景
第四章 被害感情と現行の刑罰制度
一 被害感情とその量刑における考慮
二 被害感情の充足を阻むものとしての責任非難
三 被害感情と責任非難の対立関係
四 再考――刑法は何のためにあるのか
第五章 同害報復から規範の保護へ
一 刑法による法益保護のメカニズム
二 刑法は何を保護するのか
三 実害対応型の応報刑論から規範保護型の応報刑論へ
四 ヘーゲルの刑罰理論
第六章 死刑存廃論議に与える示唆
一 実害対応型の応報刑論が導く隘路
二 規範保護型の応報刑論が描く犯罪者処罰の全体像
三 公益実現のための刑法
四 放置してはならない被害感情
補 論 死刑制度をめぐる重要論点
一 死刑のもつ一般予防効果をめぐる議論
二 処罰感情と死刑制度
三 日本人の死生観刑罰観との関係
四 誤判の可能性と死刑制度
五 死刑制度の運用のあり方
おわりに
索引 -
東2法経図・6F開架:326.4A/I18s//K
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女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000055771