ネギをうえた人 (岩波少年文庫 89)

制作 : 金 素雲 
  • 岩波書店
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140897

感想・レビュー・書評

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  • 近くて遠い国の、似ているようでちょっと違う民話集。朝鮮の人々の、のどかな心の姿を垣間見る。

    あとがきの「編者のことば」にあるように、私達は欧米の物語はよく知っていながら、なぜ隣の国の話は何も知らないのか…。幼い時に読んでいたかった。

  • 朝鮮の民話集である。
    民話の類は結構読んでいるような気がしていたが、そういえば朝鮮の民話って知らなかった。表題作がかなりシュールだという話を聞き、こりゃおもしろそうだと図書館で借りてみた。

    岩波少年文庫。かなり年季の入った本だ。
    34のお話が入っている。ごくごく短い1~2ページ程度のものから、やや長めの10ページを超えるものまで。

    トラが多く出てくるのが印象的。やはり身近にいた動物であるということだろう(参考までに、トラの生息域http://www.wwf.or.jp/activities/2009/01/605313.html)。悪役で登場することが多いのは、やはり人が襲われることもあったということか。
    ヒキガエルやシカやウサギも多いような。

    ざーっと読んでいくと、類話を目にしたことのある話もある。「おむこさんの買いもの」は「松山鏡」にちょっと似ているし、「銀のさじ」は「御神酒徳利」に似ている。「トラとウサギ」は「かちかち山」みたいだ。「金のつるのなべ」は、「おおかみと七匹の子ヤギ」に「お天道様金の鎖」を足したよう。

    ふーん、そうですか、という感じのとりたてて毒のない話もある。
    が、目が点になるものもいくつか。エキゾチックでは片付けられない。この発想はどこから来るのか。すごい。

    表題作を除けば、個人的仰け反る話の一押しはこれか。「物語のふくろ」
    「物語好きの男の子がいて、物語を聞くたび、『ためておくんだ』と腰のふくろに物語を押し込んでいた」・・・はい・・・?
    「男の子は大きくなり、結婚することになった。」・・・え、いきなり時間経ちすぎちゃう・・・?
    「物語たちはせまいところに押し込められていたことを、非常に恨みに思っていた。」・・・まぢですか・・・?
    「そして物語たちは、復讐を企てた。」・・・!!!
    衝撃である。そんなことがあるのである。夢にも思いませんでした。
    どうなるか、気になった方はぜひ本書を。

    教訓。
    皆さん、物語を独り占めにしてはだめですよ。おもしろい話を聞いたら、どんどん回りの人に教えて、物語に恨まれないようにね。

  • ひきがえるが実は素敵な若者だったり、いじわるな爺さんがいい爺さんの真似をして、ギャフン、てなったり、よくある昔話も多く、テンポの良い語り口に昔話の世界に引き込まれる。だけど、悲劇的な結末もある。表題の、ネギを植えた人は、世のため、人のために努力したのに、報われないどころか、残酷な最期を迎える。人の世がはらむ大いなる矛盾も感じられて、朝鮮民話、奥が深いぞ。

  • 意外に知らない朝鮮半島の民話集。北欧神話に似たもの、日本や中国に似たもの、世界各地の民話に類似したものなども多いが、この板の人間に取っては呪術的な話がいくつか含まれているのが嬉しい。
    「すがたを盗まれた話」は川で切った爪を食べた野ネズミが、爪の持ち主になり変わる話。爪には人間の精気が宿っているため、それを食べることで化けることが可能だった。表題作は、「そのころは、よく人間が人間を食べました。」で始まるカニバリズムくさい話。どうしても人間が牛に見えてしまうため、人々は間違ってお互いを食べてしまっていたが、主人公も間違って兄弟を食べてしまったことから反省し、人間が人間に見えるまともな国を探し放浪する。

  • ほのぼのとして良い。
    なんか童心に帰れます。
    挿絵も素敵!

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