風の妖精たち (岩波少年文庫 145)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141450

感想・レビュー・書評

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  • 小さい頃に読んで、今も心に浮かんで読みたくなる本です。

  • 図書館でずっと気になってた本を、今になって読書です。
    題名がすごく気になっていたのですが、なんとなく読まずじまいで、やっと今になって、手に取ることができました。
    100年以上前に書かれたファンタジックな童話集で、作者はウィリアム・モリスやキプリングとも親交があったとか。
    一筋縄でいかない童話が多く、いい意味でドキドキしたけれど、最後はどれもなかなかいい終わり方をしていて、よかったです。
    女性の強さを感じる良作です。

    どの話もそれぞれ印象に残っています。
    表題作は、数々の、約束を破るフラグをへし折って、最後幸せになったリュシラと風の妖精さんたちの、それぞれの誠実さがよかったです。
    かと思えば、少し不気味だなと感じさせるお話があったり、いわゆる童話のお約束を踏襲しているお話もあって、飽きずにあっという間に読むことができました。
    作者は生涯で3冊しか作品を残さなったようですが、ほかの2冊も読んでみたいと思わせるような、そんな素敵な良作でした。そしてこれを岩波少年文庫の叢書にセレクトした出版社さんの慧眼にも拍手したい気分です。本当良作でした。
    しかし童話の世界の女性って強い。愛する人のためならば、どんな苦しみにだって耐えられるのですね。
    いい本を読んだな、という気持ちでいっぱいです。調べたらほかの二冊も岩波から出ているのですね。機会を見つけて読みたいと思います。

    以下にこの本の収録作品を挙げておきます

    「風の妖精たち」
    「池と木」
    「ナニナの羊」
    「ジプシーと杯」
    「声を失ったオスマル」
    「雨の乙女」
    「農夫と土の精」

  • 今の自分の心にぴったり合う“おはなし”に出会えた。こういう喜びを手渡せたらと思う。

  • 何だろう…一見、古典的なフェアリーティルや民話のような童話なのだが、
    何とも不思議な味わいと独特の雰囲気を持った物語集。
    イギリス・ヴィクトリア朝の作家で、遺したのは3作の童話だそうだが、ウィリアム・モリスやロセッティ兄妹などや、当時の芸術家たちと交流のある家に育ち、お話上手として知られたという。
    民話的な逞しさと、愛情深い優しさ、そして美しい詩的なイメージなどが混在した面白さが感じられる。

  • 彼女の童話は、小学生の時に3冊読んだ。
    どうしてここまで魅了されるのだろう。
    私はメアリ・ド・モーガンの童話が大好きだ。

    この本の中では、「ジプシーの杯」はお気に入りだった。
    手の平に掬われた、あやしくきらめく月光が、
    今にも指の隙間からこぼれ落ちようと…

    きらきらひかる指輪だらけの、小さな鳶色の手。
    月のひかりは、さながら液体のよう。
    ありとあらゆる色どりの、見たこともないほど美しく絵付された陶器。

    想像は膨らみ
    あまりの美しさに
    息が少し苦しくなる。

  • 風の妖精に踊りを教えてもらった少女の話や、楽器の化身に声を奪われた男、ジプシーのまじないの掛かった杯の話、池と木の恋愛物語など民話や昔話といった感のある物語集。どの話も夫婦間や恋人の愛情が根幹にあるのが特徴でしょうか。挿絵も含めて美しい本ですね。

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