- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001146233
作品紹介・あらすじ
一九三二年、夏。世界恐慌のあおりでベルリンの街にも失業者があふれるなか、「よりよき未来」を約束するナチは急速に勢力を拡大していた。ヘレの弟ハンスは、悩みながらも社会に足を踏み入れていくが、やがて否応なく不穏な時代の流れに巻き込まれ……。ヒトラー政権奪取までのわずか数か月を、十五歳の視点で描く第二作。
感想・レビュー・書評
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1933年のドイツ。15歳のハンスの身の回りで起きる出来事がどれも不穏な空気を帯びている。
支持する政党により家族や友達との関係に亀裂が入る。貧困。淡い恋心。ヒトラー、ベルリン、ドイツを多面的に理解することができそうな気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1919では市民の生活の苦しさがメインとして描かれ革命の匂いが燻り始めた様子だったが今回の1933では15歳のハンスの目を通してドイツが混沌の時代に足を踏み入れたことが描かれる。わたしの乏しい世界史知識でもここからの悲劇は知っているので読み進めるのが怖い…。
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読むまでは、外国の歴史上の事だと思っていたし、ナチを支持する人なんて悪人ばかりだと思っていた。だが…どのようにしてあの惨劇が普通の労働者の中で進行していったのか、ドキュメンタリーを読んでいるようだった。
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_どこから来たかは問題じゃない。大事なのはこれからどこへ行くかだ_
ベルリン3部作の第2部。
世界恐慌のあおりで飢えと貧困が蔓延する1932年のベルリン。
カツカツと聞こえてくるナチの足音は大きくなり、やがて傾倒して行く国民たち。それらに翻弄されての、家族や隣人との悲しい分断。
15歳の少年の目から見た激動の数ヶ月が描かれます。
主人公は、第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』の主人公ヘレの弟で、赤ん坊だったハンス坊や。
苦悩しつつ踏み出した社会は、きつい労働に加え、非ナチという理由でナチの従業員から不当な暴力を受けたり、想像以上に過酷。
そんな毎日の中で出会う、同じ職場で働く少女、ミーツェ。
彼女もまた、複雑な生い立ちから決して軽くないものを背負っているのに、雪原に咲く花のように強く清らか。出会ってすぐからふたりは惹かれ合います。
次第にヒトラーの独裁を許していくドイツと、それに抗う人たち。
これでもか、これでもか、って次々に切迫した状況に陥るんだけど、ふたりのロマンスと見守る大人たちの優しい目が、読んでいる間ずっと希望の光でした。
生ぬるいハッピーエンドとは違うけど、人間の尊厳とか、我を信じぬくことの意味を深く考えさせられ、非常に勇気の湧く物語でした。
旗を掲げるシーンはこの目で見たかと錯覚するほど入り込んでしまい、目頭も胸も熱くなりました。
これが少年文庫だなんて。こんなの読める中学生がいるの?すごいな。 -
943-K-2-1
海外文学コーナー -
1933年というのは激動の時代でそのような話は胸が痛くなりますが、何か大事なことを教えてもらえる気がします。