無援の抒情 (同時代ライブラリー 6)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002600062

作品紹介・あらすじ

全共闘世代の闘いと愛と孤立をうたい、日常の風化に抗する意志表示として熱い孤立代的共感を呼びおこした歌集『無援の抒情』を中心に、最新の歌集、エッセイを収録した。

感想・レビュー・書評

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  • 今日生きねば明日生きられぬ闘いに生きた日々…・
     道浦は1947年、和歌山県生まれ。早稲田大学に入学した年に羽田闘争があり、70年安保、ベトナム戦争、沖縄返還問題と真剣に〈時代〉を考えれば考えるほど黙って見過ごすことができず、「今、何かせねば」と、他の学生たちと同じように、佐世保、王子、三里塚闘争に参加していった。
                
     迫りくる楯怯えつつ怯えつ 確かめている私の実在゛

     この時の思いを詠んだ短歌集「無援の抒情」で第25回現代歌人協会賞を受賞。
     「迫りくる楯恬えつつ怯えつつ確かめている私の実在』
     「「今日生きねば明日生きられぬ」という言葉想いて激しきジグザグにいる」
     「無援の抒情」の題名は高橋和己の著作「孤立無援の思想」から。あの時代を思い出すと、展望のない明日でも、今日という日を精一杯生きないと、明日は来ないという感じで生きてきたと、彼女は自分史の中に書いている。孤立無援とは自分の「在り万を問う」問題提起だった。

     「釈放されて帰りしわれの頬を打つ父よあなたこそ起たねばならぬ」
    孤立無援という問題提起は親子関係を問うことでもあった。
     「お前たちにわかるものかという時代父よ知りたきその青春を」

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著者プロフィール

1947年和歌山市生まれ。大阪の北野高校時代に「朝日歌壇」に投稿の1971年に近藤芳美を訪ね、80年12月、全共闘世代の心情や理念を率直に歌った歌集『無援の抒情』を刊行、世代を代表する歌人として注目を集めた。81年、同集により第25回現代歌人協賞受賞。その後歌集は、『水憂』『ゆうすげ』『風の婚』『夕駅』『青みぞれ』『花やすらい』『はなぶさ』を刊行、その他の著書に小説『花降り』『光の河』、エッセイ『百年の恋』『たましいを運ぶ舟』などがある。

「2017年 『歌集 花高野 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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