二つの憲法――大日本帝国憲法と日本国憲法 (岩波ブックレット)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784002708126

作品紹介・あらすじ

近代日本の誕生とともに、産声をあげた大日本帝国憲法。そして、第二次大戦後、その帝国憲法を改正して発布された現在の日本国憲法。この二つの憲法はいかに生まれ、育ち、受けとめられ、議論されてきたのか。何が変わり、変わらなかったのか。そもそも憲法とは何なのか。作家井上ひさしがやさしく語る、日本の憲法。

感想・レビュー・書評

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  • ‹内容紹介より›
    近代日本の誕生とともに、産声をあげた大日本帝国憲法。そして、第二次大戦後、その帝国憲法を改正して発布された現在の日本国憲法。この二つの憲法はいかに生まれ、育ち、受け止められ、議論されてきたのか。何が変わり、変わらなかったのか。そもそも憲法とは何なのか。井上ひさしがやさしく語る、日本の憲法。

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    やはり、実際に戦時中の記憶(出征していた戦地の記憶だけではなく、「銃後」の社会の記憶も含めて)がある人の語る言葉は重さがあるように思います。
    尤も、井上ひさしの主張はある種「極端」なので、拒否感を持つ人もいるでしょうが(私も彼の主張のすべてに共感するわけではありませんが)、この本でも繰り返し強調されている、日本国憲法9条の「平和主義」と「戦争放棄」はやはりこれからも維持し続けていきたい、と思います。
    マッカーサー・ノートにあった、「国家の主権的権利としての戦争は廃止される。日本は、紛争解決のための手段としての戦争のみならず、自国の安全を保持するための手段としての戦争をも放棄する。日本はその防衛と保守とを、今や世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる。▽いかなる日本陸海空軍も決して許されないし、いかなる交戦者の権利も日本軍には決して与えられない(p.50)」という日本国憲法の理想は、実現がいかに困難な道のりであろうとも、主張し続けなければならないと思います。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:323.12||I
    資料ID:95170016

  • 二つの憲法のできた経緯が要領よくまとめられていて、すごくよくわかる。
    いずれも、外国との対抗上急遽作られた感じ。
    その中に、どれだけ作成者の理想を込められるか、といったところ。

    アメリカ独立やフランス革命を経て、君主を否定する国の形を市民がつかみとってきた憲法とは異なり、一部のエリートにより良かれと思って作られた感は否めない。筆者は良ければ外国のものでもどんどん取り入れればいいじゃないか、という立場。新憲法がアメリカ人の草案により作られたことについては、差し歯も長年使っていればその人の個性になるから、いいものだったんだから、そのまま使おうよ、と言っている。

    中国は、民主的な法律形成過程を有しないから、政府のガバナンスが横暴になりやすく、きめ細かく対処できない(特に建築、食品管理)などと思っていたが、少なくとも明治憲法は同等レベル。憲法は、「臣民」の条件付きの権利と「義務」を規定していた。新憲法がなければ、日本は今でもそれを引きずっていた可能性が高い。憲法の形成過程を見れば、新憲法でも民主的な法律形成過程でできたとは言いがたい。

    日本では、クーデターでも起きない限り、国の形を決める憲法を作り代える権力の集中やエネルギーは生まれないだろうということは、よくわかった。

    二つの憲法の対比ももちろん有意義だったが、戦勝国に中国(中華人民共和国)と韓国等は入っていなかった、とか、9条は国連憲章そのままだった、とか、実際に新憲法を作ったのがどんなアメリカ人だったのか、とか、情報が具体的で正確だから、どんな立場の人が読んでも参考になる客観性とわかりやすさを有する、いい小冊子だと思う。

  • 二つ(明治と昭和)の憲法の、というよりも平和憲法に至る歴史的経緯の知らなかった話が少ないページのなかに詰まっている。
    素晴らしい本である。

  • 【2011年_8冊目】

    法学概論の最終レポート課題図書でした。
    読みやすくって、わかりやすい。
    私は、日本国憲法を大切にしたい派です。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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